キャンプでは投打で苦しんだ二刀流「まだ修正の余地は多そう」
エンゼルスの大谷翔平選手はメジャー1年目のスプリングキャンプを終えた。
29日(日本時間30日)に開幕戦の敵地アスレチックス戦が控える中、調整期間では投打ともに苦しんできた二刀流。米メディアからは、じっくり調整を行い、適応するためにマイナーリーグで開幕を迎えるべきという声も出ている。
果たして、ルーキーシーズンでどんな成績を残すのか――。大谷選手に2度、単独インタビューした経験を持つアメリカ人記者に、まずは「投手・大谷」の今季展望を聞いてみた。
「オオタニの試合はこのスプリングトレーニングで多く見させてもらった。彼の状態は問題なさそうだが、投手として、まず特定の球種に関して問題を抱えているように見える。リリースポイント、ロケーション(制球)……。まだ修正の余地は多そうだ」
こう語ったのは、バリー・ブルーム記者だ。昨季までMLB公式サイトの記者を務め、大谷選手が北海道日本ハム時代にはピオリアキャンプ中に単独インタビューを2度していたが、今季からは米経済誌「フォーブス」のコラムニストに転身。
大谷選手が登板した24日(同25日)のキャンプ最終日のマイナー紅白戦でもバックネット裏から鋭い視線を送っていた。
「ファストボール(速球)の球速はOKに見えるが、噂されていたような高い制球を見せることは現時点でできていない。それが原因で、球数がどうしても多くなって不利になってしまう。試合終盤に進むにつれて、制球も球速も上がっていた。メカニックや制球の問題を乗り越えれば、彼は問題ないと思うが……」
まだまだメジャーへの適応段階の大谷選手に対して「修正と適応に1年間かけてもいい」
決め球スプリットの“テスト"と位置づけた実戦で、大谷選手の制球は定まらなかった。現時点では滑るとされるメジャーの公式球や日本と比べて硬いマウンドなど、新たな環境への適応段階にあるが、果たしてどんなメジャー1年目を過ごすのだろうか。
「私の予想は5勝8敗だ。それも仕方ない。最後の調整試合で、紅白戦にも関わらず6つも四死球を出しているんだ。5四球、1死球、暴投2度だ。それもマイナーリーグの選手相手に、だ」
ブルーム記者はこう語った。エンゼルス先発陣の“キーマン"とも期待される大谷選手だが、ルーキーシーズンは“借金3"に終わるという厳しい予想。意識的にスプリットを多投したという事実はあったものの、若手相手の最終調整試合の序盤に荒れ気味だった内容が、名物記者の予想を大幅に下げた様子だ。
「これがメキシコリーグだったら、ボコボコにされているぞ。開幕戦後にメジャーリーガー相手にあんな投球をしていたら殺されてしまうところだ」。同記者はあまりの制球難について、冗談交じりに表現した。
だが、大谷選手の才能がメジャーで本格開花するのは、タイミングの問題だともブルーム記者は予想する。
「どこかの段階でマイナーリーグで調整すれば、シーズン最後の2か月でメジャーの打者に対応できると思う。私の予想は5勝8敗だが、日本のファンの人たちも心配しないでほしい。来年、20勝投手になれればいいんだ。今年は試練の年になるだろうね。修正と適応に1年間かけてもいいと思う」
今年の負け越しという予想は、来シーズンにリーグを代表するエース級の活躍をするための布石――。名物コラムニストは厳しくも温かいエールを送っていた。
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