
地元の成田高校からプロ入り
9月4日、千葉ロッテの唐川侑己投手が今季限りでの現役引退を表明した。唐川投手は地元の成田高校から千葉ロッテに入団し、19年間にわたってマリーンズでプレー。アマチュア時代も含めて千葉一筋の野球人生を送り、ファンからも厚い支持を受ける存在だった。
今回は、唐川投手がNPBにおいて記録した成績と、故障との戦いを乗り越えて輝きを放ってきたキャリアの歩みを紹介。それに加えて、唐川投手が残した3つの名場面をパ・リーグTVの映像とともに見ていき、千葉のファンに愛された右腕の活躍をあらためて振り返っていきたい。(※成績は9月13日の試合終了時点)
高卒1年目から先発として活躍
唐川投手がこれまで記録してきた、年度別成績は下記の通り。

唐川投手は2007年の高校生ドラフト1巡目で千葉ロッテに入団。高卒1年目の2008年から一軍で15試合に先発して5勝を挙げ、翌2009年には143.1イニングで防御率3.64、K/BB4.11と高卒2年目にして見事な投球を披露。翌2010年には故障で11試合の登板にとどまりながら防御率2.71と好投を見せ、先発の一角としてチームの日本一にも貢献を果たした。
その後も先発として登板を重ね、2011年には自己最多の168.1イニングを投じて防御率2.41と好投。自己最高の12勝を記録するキャリアハイのシーズンを送った。故障に悩まされるシーズンも多かったものの、2013年には168イニングを消化して9勝を挙げ、2016年には防御率2.84と安定した投球を見せるなど、長きにわたって主力投手として活躍した。
2018年途中からリリーフに転向し、同年には25試合で防御率2.83と適性の高さを示した。2020年には32試合で15ホールドポイント、防御率1.19と抜群の安定感を発揮し、2021年には38試合で防御率2.72、自己最多の26ホールドポイントとセットアッパーとして活躍。2年連続で優勝争いを繰り広げたチームを、ブルペンの一員として懸命に支えた。
2022年以降は一軍での登板機会が減少したが、本格的に先発に再転向した2024年には8試合の登板で防御率2.37、K/BB10.33と非常に優れた投球内容を披露。翌2025年の9月23日には後述する見事な投球を展開して白星を挙げるなど、ベテランの域に入ってからも随所で存在感を放っていた。
ここからは、唐川投手が見せた投球の中でも特に印象深かった3つのシーンをピックアップし、パ・リーグTVの映像とともに紹介していきたい。
「高校ビッグ3」の同期、中田翔氏とのプロ初対戦で三振を奪う(2010年8月12日)
唐川投手と中田翔氏はともに2007年の高校生ドラフトで大きな注目を集め、佐藤由規氏と並んで「高校ビッグ3」と評された。そして、プロ3年目の2010年8月、両雄の初対戦がついに実現。唐川投手の投球を中田氏がファウルで粘り、7球にわたる熱戦が繰り広げられた末、最後は内角の球で同期のライバルから空振り三振を奪った唐川投手に軍配が上がった。
福岡ソフトバンク打線を相手に9回10奪三振無失点(2011年10月15日)
この試合ではプロ4年目・22歳の唐川投手が、このシーズンに日本一に輝いた福岡ソフトバンク打線と相対した。杉内俊哉氏との息詰まる投手戦が展開される中で、優れた制球力と緩急を存分に使って打者に的を絞らせない投球を展開。9回を投げ切って10奪三振・無失点と支配的な投球を展開してシーズン11勝目を挙げ、投手としての能力の高さを示した。
プロ18年目の巧みな投球術で7回無失点に抑え、通算82勝目を記録(2025年9月23日)
プロ18年目の2025年、シーズン2試合目の登板を迎えた唐川投手。若き日とは異なり、カットボールを主体にスライダーやチェンジアップをアクセントに加える巧みな投球術で埼玉西武打線を翻弄。7回を3安打無失点に抑えてシーズン初勝利を挙げ、試合後には唐川投手と二軍でもバッテリーを組んでいた植田将太選手とともにお立ち台に上がって声援に応えた。
故障やイップスに負けず、プロの舞台で確かな輝きを放ってみせた
若手時代は先発ローテーションの中心的存在としてチームをけん引し、キャリアの後半では唯一無二のカットボールを武器に並み居る強打者たちを翻弄した。故障やイップスとの戦いに負けることなく、先発と中継ぎのどちらの役割でもマリーンズを支え続けた唐川投手の活躍ぶりは、ファンの心に深く刻まれるものとなった。
ZOZOマリンスタジアムで行われる10月3日の福岡ソフトバンク戦にて、唐川投手の引退セレモニーが開催される予定だ。千葉ロッテ一筋19年間のキャリアを締めくくる唐川投手の姿を、一人でも多くの人に見届けてほしいところだ。
文・望月遼太