【ソフトバンク】鬼の指揮官・小久保裕紀、グラウンド外ではナインと膝を付き合わせて会話「ワインの飲み方」も伝授「自分の色を出していくことはOK」…球団60年ぶりの3連覇

スポーツ報知

優勝し胴上げされる小久保裕紀監督(カメラ・岩田 大補)

◆パ・リーグ オリックス1―7ソフトバンク(17日・京セラドーム大阪)

 ソフトバンクが今季最長を更新する9連勝で、3年連続24度目のリーグ優勝(1リーグ時代の2度含む)を決めた。6月30日から首位を明け渡さず、前身の南海時代の1964~66年以来、89年に福岡移転後では初の3連覇を達成。小久保裕紀監督(54)は、史上3人目となる就任1年目からの3連覇となった。2年連続の日本一を目指し、10月14日から本拠地・みずほペイペイでクライマックスシリーズ(CS)の最終ステージに出場する。

 強さを象徴するようなシーンだった。ソフトバンク・小久保監督に涙はなかった。破竹の9連勝でリーグ3連覇。いつものように、淡々とハイタッチを交わした。「大阪を本拠地としていたホークスが、福岡に移転してから成し得ていない目標だった。感無量です」。ゆっくりとした足取りで、選手たちが待つマウンド付近へ到着した。就任1年目にリーグ優勝した京セラDで、7度の胴上げ。無重力空間を堪能した。

 「一度、壊す」。昨年10月30日。5年ぶりの日本一を達成した直後、小久保監督は決意した。進化するため、全く新しいチームをつくること。今季のスローガン「全新」につながった。柳田、近藤、周東を除くレギュラーは白紙。本気の競争をあおった。開幕から5連勝。しかし、順風満帆ではなかった。5月20日には最大借金2を抱えた。ちょうど理想の「形」を模索していた時期。若き大砲にめどがついた。正木だった。

 不動の1番打者として、球団記録を更新する7本の初回先頭打者本塁打。アーチを放てば、20勝4敗2分けと勢いをつけた。近藤は健在で、37歳の柳田も3年ぶりに規定打席をクリア。不動の4番に定着した栗原も開幕は7番だった。自力でポジションを勝ち取り、37本塁打、111打点はパ2冠。指揮官も「変化」した。

 原則、選手とは一定の距離を置くスタイル。コーチ陣には「選手への言い方、接し方、ヒントの与え方。一番プラスになるのは何か考えてやってほしい」と伝え、自身も体現した。今季はリリーフ、捕手など、ポジションごとで食事会を主催。ベンチで見せる厳しい表情とは正反対だった。

 5月中旬に誘ったのは川村ら控え選手。DeNAからトレードで加入したばかりの山本祐も参加し、力強い言葉で背中を押した。「ホークスのルールをしっかり頭に入れて。ルールの中で、自分の色を出していくことは全然OK」。胸襟を開き、膝をつき合わせて会話した。「選手として1年でも長くやるためには」と41歳シーズンまで第一線にいられた理由を力説し、自身が好む「ワインの飲み方」とテーマはさまざまだった。

 2年連続最多勝の有原が日本ハムへ移籍。13勝の大関が不調、モイネロも出遅れた。ある時、野手陣を集めた。「若い投手が続く。失点も野手でカバーしていこう」。チーム得点は両リーグ断トツの647。21歳の前田悠が開幕12連勝し、先発6番手からスタートした大津もプロ4年目で初の2ケタ勝利と殻を破った。

 96年5月9日の近鉄戦(日生)で敗戦後、心ないファンからチームバスに生卵が投げられた。「卵をぶつけられるような野球をやっているのは俺たちなんだ。あの連中に喜んでもらおうよ」。正面から受け止め、選手時代の小久保監督に訴えかけた恩師・王監督は当時55歳だった。小久保監督も10月8日が55歳の誕生日。南海ホークスが生まれた大阪で偉業を成し遂げた。

 2位・西武に11ゲーム差をつけての独走V。和歌山出身の指揮官は「関西には縁がある」と笑い、すぐ表情を引き締めた。「10、というところも意識しながら戦いたい」。CSで新たに導入されたのが、シーズンで10ゲーム以上を離せば2勝のアドバンテージが与えられる新ルール。2年連続日本一の目標も、当たり前のように乗り越える。(森口 登生)

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