「この世界に入ってきて僕の夢だったので、達成できてよかったです」
ロッテの山口航輝が15日の日本ハム戦、プロ入りから目標に掲げてきたシーズン30本塁打の大台に到達した。
6回の第4打席に第29号2ランを放っている山口は、6-6の9回無死走者なしの第5打席、柳川大晟が2ボール1ストライクから投じた4球目のストレートを左中間スタンドに決勝ソロ。これが山口にとって自身初のシーズン30本塁打、球団の日本人選手では86年に50本塁打放った落合博満氏以来のシーズン30本塁打となった。
◆ 長年の目標
「ホームランも30本以上打って、ホームラン王を獲りたいと思っています」。2018年12月4日の新入団選手発表会で宣言してから、山口の30本塁打の挑戦は始まった。
山口は3年目の21年にプロ初本塁打を含む9本塁打を放つと、翌22年には9月22日のオリックス戦で3打席連続本塁打を放つなど、同年はチームトップの16本塁打。22年10月19日の取材で20本塁打、30本塁打打つために必要なことについて「甘いボールを1球に仕留めることだと思います。速いボール、速球を打ち返すことだと思います」と力を込めた。
23年は第1号が4月25日の西武戦と時間がかかり、前半戦で放った本塁打は8本。同年の前半戦終了後の取材で、「野球する上では30本は目指したいと思っていますし、今年(23年)できるかと言われたらそんなわけは絶対にないと思うので、いずれ野球選手である以上30本という数字は追いかけてやっていきたいと思います」と後半への巻き返しを誓い、同年は14本塁打を放ち、2年連続で二桁本塁打を達成した。
2年連続二桁本塁打を放ち、改めてシーズン30本塁打を放つために必要なことについて訊くと、24年1月23日の取材で「まず試合にずっと出続けることだと思います。そこが一番。まず打席に立たないとそういう数字は達成できないと思いますし、1年間出てこその30本だと思う。まずは開幕からスタメンで出て最後まで出られるくらいじゃないと達成できないかなと思います。技術面でもまだまだなので、もっともっとレベルアップしないとダメだなと思います」と自己分析。
24年2月11日にZOZOマリンスタジアム移転後、30本塁打を放った日本人選手がいないことを伝えると、山口は「そうっすね。(井上)晴哉さんが24本打ったから、右バッターがその壁を越えられていないというのは知っていますし、そこを越えるために頑張っていきたい。30本打ったのも落合さんが最後だと思うので、そこを近づけるようにしたいです」と決意を述べた。
同年の石垣島春季キャンプの打撃練習では角度のついたライナー性が多く、24年こそシーズン30本塁打に期待がかかったが、同年は一軍定着後、ワーストの2本塁打にとどまった。
同年10月に行われたプロ野球ドラフト会議では、ロッテは山口と同じ右打者の外野手・西川史礁を1位で指名。
「今年だけじゃないですし、(石川)慎吾さんが入ってきて、愛斗さんが入ってきて、同じタイプの選手がここ最近、補強されていると思うので、シンプルに悔しい。負けたくないという思いはある。ドラフトに入ってくる子だけじゃないので、そもそも入ってくる前から競争は激しい。入ってきたからどうとかはないし、今年(24年)は周りの人を気にして自分がうまいこといかなかった。周りの人を気にはなると思うんですけど、まずは自分がやることをやって勝負できないと今年(24年)みたいなことになる。できることをやりたいと思います」(24年10月25日取材)
この年限りで、右の長距離砲として長年チームを引っ張ってきた井上晴哉が現役を引退した。
「右バッターはいっぱいいますし、まずはそこは自分の持ち味として他の右バッターより優っていないとこの世界で生きていけないと思う。(井上)晴哉さんの数を超えられるようにやっていきたいと思うし、それくらい打たないとロッテの外野のレギュラー争いはどこの球団を見ても激しいと思うので、そこで生きてくためには自分の長所を磨いてそこで勝負していかないといけない。今年(24年)みたいにできないことというか、長所を伸ばしていけるようにやっていきたいと思います」(24年10月25日の取材)
25年は開幕からなかなか出番に恵まれなかったが、8月にパ・リーグタイ記録となる4打数連続本塁打を放つなど、8月の1ヶ月だけで7本のアーチを描いた。9月は13試合に出場して、本塁打はなく、山口の課題は安定して本塁打を打ち続けることだった。
シーズン通して本塁打を打ち続けるために、「気持ちの面とかも大事になってくるのかなと思います。打ってる時はみんなそうだと思うんですけど、打ってる時は打てるんじゃないかと思う。どこかで力みがあったり、どこかでやらなきゃいけないところを考えてしまう時はなかなかいい結果が出ないと思うので、いかに冷静に打席に立てるかが大事になってくるかと思いますし、あとは練習するだけかなと思います」と話した。
プロ8年目を迎える26年シーズンに向けて、「ずっと目標にしていたので、これだけは変えたくない」とブレずにシーズン30本塁打を目標に立てた。
30本塁打への思いについて「そこに向かってやっていく必要が絶対あると思うので、そこはブレずに追い続けたいと思いますね。ここでぶれたら本当に何のために野球をやってるんだ。今まで何を追っかけてきたんだというふうになってしまうと思う」と吐露。
「今までの数字を見て30本はなかなか言いにくいですけど、僕の目標でもあるし、入ってきた時からの目標があるので、そこは絶対にブラさず、誰に何を言われようがそこは変えたくないと思います」
山口は開幕一軍を掴んだものの、8試合に出場してノーアーチに終わり、4月19日に一軍登録を抹消。ファームに降格した期間で打撃フォームを修正し、ストレートが弾き返せるようになった。5月12日に藤原恭大の故障離脱によって巡ってきたチャンスを掴み、5月、6月の2ヶ月で12本塁打を放つと、7月24日のオリックス戦でシーズン自己最多タイに並ぶ16号、7月26日のオリックス戦でシーズン自己最多の17号本塁打。
8月は量産体制に入る。8月11日のソフトバンク戦で自身初のシーズン20本塁打に到達すると、8月18日の楽天戦から8月21日の日本ハム戦にかけて4試合連続本塁打。8月26日のソフトバンク戦、サヨナラ本塁打で井上さんのシーズン24本塁打に並ぶと、8月27日のソフトバンク戦で「晴哉さん(井上)の本数を抜くことができて、初芝さんに追いつけたということで、次は落合さんの本数を目指して頑張ります」とZOZOマリン移転後、日本人最多タイとなるシーズン25本塁打をクリアした。
8月28日の日本ハム戦で、ZOZOマリン移転後日本人シーズン最多本塁打となる第26号。8月は月間10本塁打を放ち、月間MVPを獲得。8月のパ・リーグNo.1のバッターになった。
「選ばれるとはあんまり思っていなかったので、嬉しく思いますし、これを続けていければ、そういうタイトルとかも見えてくると思う。一時期だけではなくて、継続できるようにしたいと思います」
“30”という数字に辿り着くまでには、決して平坦な道のりではなかった。プロ入りから30本塁打を達成するために、必死に毎日バットを振ってきた。そして、30本塁打という目標をクリアした。次は同じようにプロ入りから目標に掲げる“本塁打王”の獲得、そして落合博満さんを超えるシーズン50本塁打だ。
取材・文=岩下雄太