
楽天は17日、前ロッテ監督の吉井理人氏(61)が新監督に就任することを正式発表した。仙台市内で行われた会見には、三木谷浩史オーナー(61)も出席。異例のシーズン途中での就任を引き受け、複数年契約を結んだ吉井新監督は「全部つぎ込んで一生懸命やります」と再建への覚悟を示した。三木谷オーナーは招へいの背景を説明し、「最強球団」形成への思いを激白。19日のロッテ戦(ZOZO)から新体制で再出発する。
吉井新監督の表情に勝負師らしい覚悟がにじんだ。監督就任会見。チームが最下位に沈む中、異例のタイミングで重責を託される。「大変な状況ですが、可能性があるチームだと信じている。経験と知識を全部つぎ込んで一生懸命やっていく」と決意表明した。
電撃的な展開だった。10日に三木前監督の休養が発表された。塩川ヘッドが監督代行を務めてきた状況で、新監督の下で再出発する。「皆さんに本気度を」と2010年の星野仙一氏の時以来、会見に同席をした三木谷オーナーは、シーズン中に監督交代に踏み切った理由を説明。「今年の成績だけでなく、中長期的に改革をしないと、継続的な強い球団は作れない」と背景を明かした。
なぜ吉井理人なのか―。理由は新指揮官が持つ「勝者のDNA」と「翻訳機能」にある。日米で活躍し、日本一を3度経験。ロッテで監督を務め、侍ジャパンのコーチとして世界一に輝いた。博識で最先端の野球にも理解が深い。三木谷オーナーは「データを中心に進化している。データを戦略に落とし込む翻訳機能が必要。吉井さんのようにプレーヤーで世界を経験して、実際に指揮を執ったことがある人が必要だった。もう一つ重要なのは勝者のメンタリティー。植え込んでほしい」と熱弁する。
その熱意に、新指揮官も心を動かされていた。シーズン中のオファー。吉井氏も驚きだった。「差し込まれた。『えっ?』となりましたね」。迷いはあったが、腹をくくった。「一番は三木谷オーナーが熱心に誘ってくれたこと。野球に対する思いの強さを感じた。引き受けなければいけないな、と」。覚悟を決めた。
「ダメ元」でオファーしたという三木谷オーナーは「火中の栗を拾うような形を、引き受けていただいた」と感謝。新指揮官とは「中長期的な」と複数年契約を結んだ。「全ての面で今後大きな投資をして最強軍団にしていく」。強力にサポートしながら、常勝チームを作りあげる。
背番号「81」に決定した新監督の初陣は19日のロッテ戦(ZOZO)。監督を務めた古巣が相手になる。「携わった選手の成長が楽しみでしたけど、そこは割り切る。敵としてやっつけにいく」。新指揮官とともに逆襲の幕が上がる。(宮内 孝太)
三木谷オーナーに聞く
―吉井新監督へのオファー理由。
「侍ジャパンのコーチとして世界一にも貢献された。裏話になっちゃいますけど、実は、その際に(侍ジャパンの)栗山英樹監督ともお話しする機会があり、吉井さんのことを非常に高く評価されていました。経験があるだけでなく、筑波大学の大学院で修士号を取られているということで、コーチ論を現場だけではなく理論的にも勉強されている。チームの礎を築いていく上で適任」
―楽天グループではサッカーのヴィッセル神戸が常勝チームになりつつある。
「ヴィッセル神戸も2度の降格を経験するなど、苦しい時期はあったんですけど、この4年間で3回の日本一、強豪チームに進化してきた。単純な強化だけでなく、チームの文化、そしてメンタルの強化など、いろいろあった。その経験を生かしつつですね」
―短期間での監督交代が続く。
「まだまだ球団としての人材面が薄く、内部からの昇格もまだ難しい状況。長期的にやってもらったのは野村克也さんと、星野仙一さん。その後は一生懸命やってもらってるけど、我々の力不足もですけど、監督を(長く)やっていただくことができなかったのはある」
―吉井監督の編成面での裁量を広げることはあるのか。
「組織全体として決定していく必要がある。吉井監督の意見を尊重しつつ、組織全体としてしっかりと議論をして採用していく」
〇…楽天は10日から休養していた三木肇監督(49)が退団することを発表した。また吉井新監督の就任に伴い、塩川達也監督代行(43)がヘッドコーチ、真喜志康永チーフコーチ(66)が育成総合コーチへ復任。青山浩二投手コーチ(42)の背番号が「82」へ変更されることも決まった。三木谷オーナーは「これまで指揮を執ってくれた三木さんにも感謝の念をお伝えしたい」と惜別の言葉を送った。