
◆パ・リーグ 楽天4―3ソフトバンク(16日・楽天モバイル最強)
楽天の古謝樹投手(24)が16日、ソフトバンク戦に先発し、6回7安打2失点で今季初勝利をマークした。7先発目で待望の白星。「野手、リリーフの皆さん、ファンの方も、ずっと応援してくださっていた。恩返しではないですけど、まず1勝ができた」と声を弾ませた。
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同学年のチームメートを思っての行動だった。初回のマウンドへ向かう古謝の背中にいつもとは違うメロディーが降り注ぐ。鳴り響いたのはB’zの「OCEAN」。左肘の手術を受けたばかりの楽天・林優樹投手(24)が登場曲として採用する曲だった。今季初勝利を挙げた試合後、古謝が真意を明かした。
「(林)優樹を勇気づけられるように。優樹だけに勇気づけられたらいいなと思って。なんとか優樹のために、これを機にもう1回立ち直ってほしいですし」 照れ隠しの不器用なダジャレを交えた言葉。だが、友を思う強い気持ちは本物だった。
5月10日の試合後。古謝は都内の病院に足を運んでいた。自らの体を診療してもらうためではない。「お見舞いに。会いに行きました」。左肘の手術を受けた林の顔を見るためだった。
プロ入り後、度重なる故障に泣かされてきた林の苦悩を古謝は知る。「ずっと自分が入った時からリハビリとかで。うまくいってない期間の方が多くて」。そして、再びの手術。「人前では落ち込んでなかったですけど、やっぱり相当きついと思う」。何かできることはないか。林の胸中を思いやり、考えた回答の一つが、友の曲をマウンドに響かせることだった。林本人に伝えた時「ほんまに使うんか?」と半信半疑だったというが、古謝は実行。今季初勝利という結果でもリハビリに励む左腕へエネルギーを送った。
「同級生なので。また、一緒に試合で投げられるように。そう願ってます」。仙台に響いた「OCEAN」のメロディーは、ただのエールではない。約束だ。待望の今季1勝は、復活を期す友と古謝自身を照らす価値ある白星になった。
(宮内 孝太)