ロッテの2026年の戦いが終わった。63勝77敗3分、リーグ3連覇したソフトバンクと28ゲーム差のリーグ5位。
リーグ5位ではあるがポジティブな要素は多かった。野手陣で言えば、2年目の西川史礁が最終戦に西川龍馬(オリックス)と並び最多安打のタイトルを獲得、小川龍成がセカンドのレギュラーに定着、山口航輝がZOZOマリンスタジアム移転後シーズン最多となる38本塁打を放った。シーズン終盤に失速したものの藤原恭大が2年連続で規定打席に到達、佐藤都志也もZOZOマリンスタジアム移転後の捕手ではシーズン最多の18本塁打をマークした。
昨年までは“育っているようで育っていない”、“育っていないようで育っている”という選手が多かったが、西川、小川は2年連続で活躍し、山口、藤原、佐藤はチームの中心と呼べる選手、計算の立つ選手に成長したと見てもいいだろう。
ショートの層はやや薄いと感じたものの、シーズン最終盤に小川が守っており、セカンドに打撃が売りの上田希由翔が入ったりとオプションが広がった。
山﨑剛、髙部瑛斗、安田尚憲、池田来翔、友杉篤輝、上田希由翔、井上広大、山本大斗、松川虎生、寺地隆成など、捕手内外野ともに選手の層は間違いなく上がった。誰かが調子を落としても、代わりになる選手が出てきたのは大きい。山口は故障で離脱した藤原に代わって5月12日に一軍昇格してから、38本のアーチを描きポジションをモノにした。競争力が野手陣の層を厚くしたと言える。
◆不安定だった先発陣
一方で投手陣に関しては昨季の成績を踏まえて田中晴也、木村優人が先発で1本立ちできれば、かなり先発陣は強力になるかと思われたが、田中晴は8月以降復調したもののシーズン通して一軍で投げられず、木村も故障で離脱。なんと言っても、WBC日本代表として活躍し、今季は個人タイトル総なめの期待も膨らんだ種市篤暉の故障離脱が非常に痛かった。
規定投球回に投げられたのは150回2/3を投げた新外国人のジャクソンのみで、次いで小島和哉の117回1/3と、100イニング以上投げたのはジャクソンと小島の2人しかいなかった。開幕前には石川柊太、西野勇士、唐川侑己、河村説人、吉川悠斗、新人の毛利海大など先発候補は多くおり、種市、小島、ジャクソンの先発3本柱に加え、田中、木村の5人、6枚目を複数で争うと思われたが、誤算続きだった。
来季に向けて、シーズン途中にリリーフから先発に配置転換となった高野脩汰が先発4試合・27回を投げ、3勝1敗、防御率1.67、途中加入し登板を重ねるごとに好投が光ったルケーシー、田中晴也が夏場以降安定していたのは明るい材料だ。
昨季は勝利の方程式を固定できずウィークポイントだったリリーフ陣は、昨季まで3連投なし、1週間に4登板以上はなしといった登板管理が解除された中、8回・鈴木昭汰、9回・横山陸人の勝利の方程式が確立され、鈴木と横山は個人タイトルを獲得。昨季後半戦は故障で棒に振った中森俊介も5月4日に昇格してから1度も離脱することなく、シーズン最後まで戦い抜き、主に勝ち試合の7回の男として42試合に登板した。昨季シーズン自己ワーストの成績に終わった益田直也も、昨年秋から取り組みを変えたことが奏功。練習試合、オープン戦で結果を残し、開幕一軍を掴むと、春先はビハインドゲームのリリーフを中心に投げていたが、序列を上げていき7月10日のオリックス戦で今季初セーブ、8月4日の西武戦で通算250セーブを達成するなど、シーズン通して一軍で戦い抜いた。
八木彬はビハインドゲームのロングリリーフを中心に46試合に投げ9勝を挙げるなど、ブレイク。先発陣が不安定だった中で、先発の後に投げるロングリリーフとして試合を立て直したのは、チームにとってもありがたい存在だった。澤田圭佑、小野郁も40試合以上に登板し、ブルペンを支えた。
投手陣全体で気になったのは、田中晴、木村が順調に育っていた関係で昨季まではあまり気にならなかったが、田中、木村に続く高卒投手が出てきていないところ。その辺りを来年、石垣元気、奥村頼人、現在は育成ではあるが中山優人といった“高卒1年目トリオ”をはじめとした、高卒の若手組が一軍の競争に割って入ってこれるかも重要な要素になってくる。
◆ 長年の課題
チームとしての課題は、長年続く“チームの好不調の波”、“夏場以降の失速”を克服できなかった。
23年はオールスター前まで首位と3.5ゲーム差貯金10、7月30日には貯金を最大の13にしたが、8月以降に失速し9月28日には借金2まで落ち込むなど、最終的にCS争いに巻き込まれ、最終戦に勝利して2位でCS進出を決めたことがあったが、今季は春先思うように勝てず5月13日の日本ハム戦時点で借金9、首位と9ゲーム差の最下位にいた。
5月14日の日本ハム戦から5月17日のオリックス戦にかけて4連勝すると、交流戦を10勝6敗2分と勝ち越し、リーグ戦再開後の楽天との2試合も連勝。6月21日には最大9あった借金を完済し貯金を2まで作った。5月14日から6月終了までの成績は、20勝10敗。わずか1ヶ月半で貯金生活まで持っていき、夏場にかけて調子を上げていくかと思われたが、7月が7勝14敗、8月が11勝13敗、9・10月は11勝16敗と負け越した。
今年の春季キャンプはチーム練習だけでなく、個人練習でも長時間練習している選手が多く、厳しい練習に耐え、夏場以降の戦いに大いに期待したが、屋外球場のZOZOマリンスタジアムを本拠地にしており暑さという敵があるものの、チームとして夏場以降のスタミナ切れは否めなかった。
ドーム球場で勝てなかったこと、ビジターで勝てなかったこと、ソフトバンク、オリックスに一方的にやられたことに関しては、年が変われば各チームの色も変われば、これまでも大きく負け越した球団に翌年勝ち越したケースもあるので、そこまで気にする必要はない。ただ、長年の課題である“チームの好不調の波”、“夏場以降の失速”を克服しない限り、リーグ優勝は見えてこない。
2年続けて活躍できない問題は豊富な練習量で解決し、投打に軸となる選手は出てきた。昨季までは野手が揃えばだったが、来季に関しては先発陣が揃えば、若手野手が育ってきており、リーグ優勝も狙えるのではないだろうか。あとは夏場以降に勝ち切れるかどうか。若手、中堅選手は間違いなく成長しており、今年の経験をどう選手それぞれが来季に活かし、チームの勝利に繋げられるか。この悔しさを糧に、来年の開幕までにチーム、選手個人個人が自覚を持って過ごすことが求められる。
取材・文=岩下雄太