
日本ハムの宮西尚生投手(40)が23日、自ら記す連載「勇往邁進(ゆうおうまいしん)」で高校野球が持つ唯一無二の魅力について語った。夏の甲子園出場権を懸けた戦いを続ける球児へ熱いエールを送り、市尼崎(兵庫)時代の自身の秘話も明かした。
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高校野球は長い野球人生の中でも特別な3年間だったと感じます。ほぼ毎日、チームメートと一緒に過ごし、色々な誘惑にも負けず青春時代を野球に捧げました。つらい練習を乗り越えられたのも、甲子園の舞台に立ちたいという強い思いがあったからこそ。夢をつかもうとする球児たちの姿を見ると、何歳になっても心を打たれます。この時期は甲子園出場を懸けた地方大会の真っただ中。3年生は今が一番楽しい時だと思います。緊張やプレッシャーもあると思いますが、そこはなるべく忘れて、楽しんでプレーしてほしいと思っています。
自分の高校時代を振り返ると、ほとんどランニングをしていた印象です。過酷な練習を乗り越え秋、春と県ベスト4に入り、優勝候補として臨んだ3年夏の大会でしたが、大会直前に打線の中心だった4番打者が体育の授業で骨折してしまいました。部員のテンションもガタ落ちで、エースだった自分も大会前に風邪をひく最悪の事態に。結局ベスト16で敗れてしまい、かなり責任を感じていました。誰にも見えないスタンドの隅で涙をぬぐった記憶があります。
もちろん悔しい思いが強いですが、今振り返ると笑い話の一つです。引退してから20年以上たちますが、年末年始は必ず監督や仲間と集まり、当時の話で盛り上がります。勝つことはもちろん大事ですが、甲子園を目指して必死になった過程が重要で、一生つながる“球友”と出会えたことも大きな財産です。
高校野球は人間力を育てる教育の場でもあります。3年間苦楽を共にして、ベンチに入れない3年生が多くいることも事実。メンバーに入れなかった選手は悔しい気持ちでいっぱいだと思いますが、腐らずに仲間を応援する姿があります。人間として本当に素晴らしいことで、この経験が大人になって必ず生きるということを伝えたいです。逆に試合に出ている選手は決して諦めず、最後までやりきってほしいと思います。
母校は残念ながら敗れてしまいましたが、この歳になると北海道を含め、どの高校生にも頑張ってほしいという気持ちが強いです。全高校球児に伝えたいのが、悔いなく最後まで諦めないこと。勝ち負けも大事ですが、それが全てではないということです。最高の仲間と最高の夏にしてほしいと、心から願っています。(宮西 尚生)
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