
昨季のオリックスでチーム1号は誰?と問われ「ラベロ」と答えられる人は多くないだろう。昨年3月27日の西武戦(ベルーナD)で、来日初本塁打となる2ラン。実は試合前、伏見が好アシストをしていた。
一発を放つ2日前。在籍2年目の助っ人は、初の開幕スタメンを勝ち取っていた。その儀式は少々気合が入りすぎ、自慢のもみあげまで落としてしまった。「やっぱり、そりすぎてしまった…。どうにかしてほしい」。笑いに包まれたベンチ裏で、黒のマジックペンを握ったのが伏見。きれいに喪失部を描き足し「男前だよ」と送り出した。
本職での活躍も申し分なかった。若月と2枚看板でリーグ連覇、26年ぶりの日本一に貢献。特に左投手のリードがうまかった。「直球とスライダーだけで今年は持たない」と判断し、宮城にはスローカーブを多投させた。2年連続2ケタ勝利だけでなく、通算25勝のうち22勝を導いた。
自身は19年6月に負った左アキレスけん断裂の重傷を克服。戦列復帰した20年からコンビを組む山崎福には「自信を持って。できるんだから」と激励を続けてきた。ある試合で防げるミスを犯し「もう何も言わん。好きにやれ」と突き放したのも良い思い出。「福也は気持ちを燃やした方がいいんですよ」とうなずいた。
挑戦を好む32歳は愛着あるオリックスを離れ、FAで日本ハムへの移籍を決めた。新庄監督からも「なれ合い集団になってほしくない。締めるところは締めてほしい」とすでに要望されている。今季11年目。覚悟を秘め、生まれ故郷の北海道で戦う。(オリックス担当・長田 亨)