
「2ストライクに追い込んでから一番いいのは三振なので、そうなってからはもちろん狙っていきました」
福岡ソフトバンクの捕手・甲斐拓也がそう振り返った6回のピンチを武田翔太がしのぎ、直後の7回に4点を奪って8対2。試合中盤の勝負どころで地力を見せた福岡ソフトバンクが埼玉西武を下し、「2018 パーソル クライマックスシリーズ パ」ファイナルステージ突破に王手をかけた。
両チームの明暗を分けたのは投手力の差だった。福岡ソフトバンクは中4日で先発した東浜巨が2失点で4回を投げ終えると、4対2で迎えた5回から武田翔太にスイッチ。この右腕が埼玉西武に傾きそうな流れを断ち切った。
6回に制球を乱した武田は無死1、2塁のピンチを招くと、「開き直ってというより思い切って行きました」。5番・栗山巧を内角への148キロでファーストゴロに抑えると、中村剛也、岡田雅利を連続三振。この場面について、捕手の甲斐はこう振り返った。
「(中村には)最初から三振を狙ったわけではなく、まず一つアウトを取れればと思っていました。2ストライクに追い込んで一番いいのは三振なので、そうなってからはもちろん狙っていきました。岡田さんのところでも三振を狙うわけではなく、武田のいい球を投げさせてゴロを打たせればいいかなと思いました」

高卒7年目、日本シリーズや侍ジャパンなどで大舞台を踏んできた武田は、このピンチで高い集中力を発揮する。中村には2ストライクに追い込んでから首を振ってストレートを選択すると、やや真ん中寄りに入ったものの手を出させずに仕留めた。続く岡田には7球目、外角低めの絶妙なコースにスライダーを曲げて、2者連続の見逃し三振で切り抜けた。

一方、埼玉西武は先発の今井達也が序盤で課題を露呈した。
「クイックで投げていると体の開きが早くなるので、ランナー出てから変化球が浮いたり、真っすぐがシュートしたりすることが多いです」
自らそう話していた修正点がこの大一番でも顔をのぞかせ、初回に柳田悠岐、2回に甲斐にいずれもシュート回転したストレートをスタンドまで運ばれた。ともに2死から走者を許した直後の一発で、悔やまれる結果となったが、それでも辻発彦監督は前を向いた。
「バッテリーコーチからシュート回転で入っていると言われていましたけどね。ハタチだって、まだ。高校出て2年目のピッチャーがこんな(重要な)ところで投げているんだから、大したもんだと思うよ。これを経験して、どんどん来年からも大きくなってくれればいい」
ともに高卒ドラフト1位で入団し、プロで7年の実戦マウンドを重ねてきた武田と、まだ2年目の今井。武田が豊かな経験を活かした一方、今井にとっては未来につなげるマウンドになった。
これで3勝2敗(埼玉西武のアドバンテージを含む)とした福岡ソフトバンクが第5戦に勝って日本シリーズ出場を決めるか、埼玉西武が再びタイに持ち込むか。いよいよクライマックスが絶頂に近づき、大一番を迎える。