【開幕直前コラム】エースがいなくなった翌年の北海道日本ハムは…。チーム内競争の先で王座奪還を目指す

パ・リーグ インサイト

2018.3.27(火) 19:20

北海道日本ハムの2018年シーズンは、3月30日に本拠地・札幌ドームで開幕する。日本一に輝いた一昨年から一転し、リーグ5位という結果に終わった昨季。今季は日本一奪取に向けて、雪辱を期すシーズンとなる。

昨季の北海道日本ハムは、大谷選手(現・エンゼルス)や近藤選手が故障に悩まされ、前年の勝ち頭だった有原投手や、打点王を獲得した中田選手が不振にあえぐなど、チームの主力が万全の状態で揃わない状況が長く続いた。

しかし、一方では多くの若手が出場機会を得て、与えられたチャンスを生かしたシーズンでもあった。その筆頭が、松本選手と大田選手だろう。松本選手は、4月下旬からスタメンに定着すると、シーズン途中には3割を超える打率を残す。自己最多を大きく更新する115試合に出場し、プロ初本塁打、初の規定打席到達と充実の1年を過ごした。

大田選手は2016年オフ、トレードで北海道日本ハムに移籍。開幕こそ故障で出遅れるも、プロ9年目にして初の2桁本塁打(15本)を放って、大器の片鱗を見せ付けた。

投手陣では、大田選手とともに巨人から加入してきた公文投手が、救援左腕として存在感を示した。プロ5年間で、一軍登板はわずか16試合にとどまっていたが、昨季は41試合に登板。防御率2.70と安定感を見せ、宮西投手に続くサウスポーとしてブルペンを支えた。

今季プロ4年目を迎える右腕・石川直投手も、数多くの実戦経験を積み、飛躍のきっかけをつかむシーズンを送った。先発・中継ぎの両方をこなし、自己最多の37試合に登板。プロ初勝利を挙げることはできなかったが、長身を生かした角度のある直球とフォークを武器として、来季は投手陣をけん引する1人になることが期待されている。

そして、何といっても今年の注目は熾烈なポジション争いだ。大野選手(現・中日)が抜けた捕手陣では、清水選手を筆頭に、復帰を果たした實松選手、鶴岡選手の両ベテラン、さらに石川亮選手や市川選手が加わり大混戦となっている。

この中から抜け出すのは誰か。巨人、福岡ソフトバンクなど、日本一を経験した強豪チームの「常勝イズム」が注入される点にも期待したいところだ。

また、昨季活躍のチャンスに恵まれた石井一選手や太田選手、渡邉選手といった若手内野手は、今季のブレイクが期待される。平沼選手なども含めた中から、田中賢選手や中島卓選手を脅かす存在が現れれば、チーム力が格段に上がることは間違いない。

中田選手やレアード選手といった長距離砲たちもうかうかしていられない。ドラフト1位の清宮選手は離脱したが、今井選手、横尾選手などポジションを狙う選手は数多い。DHの枠も含め、新外国人のアルシア選手を巻き込んでの熾烈なレギュラー争いとなりそうだ。

さらに今季は、3人の新外国人投手がやってきた。マルティネス投手、ロドリゲス投手は、ともにオープン戦では調子の波が見られたが、ポテンシャルは確かなもの。守護神を任されそうなトンキン投手も、オープン戦を無失点で終えており、大いに期待が持てる。

大谷選手(現・エンゼルス)、増井投手(現・オリックス)、マーティン投手(現・レンジャース)と主力選手の移籍が相次いだ昨オフ。思い起こすのは、ダルビッシュ投手(現・カブス)が海を渡り、その大きな存在を欠いた中で迎えた2012年シーズンだろう。

大エースがいなくなったシーズン、吉川光投手(現・巨人)の台頭などもあり、チームは3年ぶりのリーグ優勝を果たした。若手、ベテラン問わず激しいチーム内競争が繰り広げられるであろう今季の北海道日本ハム。一時代が終わり、新たな船出を迎えた「ファイター」たちの戦いに注目していきたい。

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