「ずっと頑張っていたモイネロと森さんを休ませたいという思いで上がりました」
■福岡ソフトバンク 7-0 埼玉西武(CS・11日・メットライフ)
これぞエースのピッチングだった。福岡ソフトバンクの千賀滉大投手が大一番で圧巻の好投を見せた。11日、敵地メットライフドームでクライマックスシリーズ 第3戦。中5日で先発マウンドに上がった右腕は強打の埼玉西武打線を8回2安打無失点に封じ、10個の三振を奪う圧巻の好投を見せた。
初回先頭の秋山に右前安打を許したが、全く動じなかった。「秋山さんですから、1本くらい打たれても何も思わない」。犠打で1死二塁となっても、難なく後続を切って取ると、そのまま波に乗った。2回から7回まで無安打投球。8回2死で源田に内野安打を許すまで、実に27打者連続でノーヒットに封じた。埼玉西武打線に付け入る隙を与えずに8回を無失点で投げ抜いた。
CSファーストステージ初戦の楽天戦から中5日。千賀は登板前にある覚悟を持ってマウンドに上がった。「ずっと頑張っていたモイネロと森さんを休ませたいという思いで上がりました。それが目標だったので、それができて嬉しい」。シーズン中、そしてCSとフル回転を続けてきたリリーフ陣。なんとか休養を与えるために、と長いイニングを投げることを自らに課した。
「みんなにも言っていました。負けてもいいから、8回まで僕が投げると」。まさに有言実行。7回を投げ終えた段階で球数は109球。8回も当然のごとくマウンドに上がり、最終的に126球を投げ抜いた。工藤公康監督も「最高でした。 これ以上ない」と絶賛する、勝利だけでない価値のあるピッチングだった。
エースの力投でチームは日本シリーズ進出へ王手をかけた。12日は台風19号の影響で中止となり、13日に一気に突破を目指す。「僕は影から応援します」と千賀。エースは役割を果たし、あと1勝をチームメートたちに託した。
記事提供: