優勝は中学生。東大女子も輝いたパ・リーグ学生ベースボールアプリ選手権

パ・リーグ インサイト

2019.10.6(日) 07:30

最年少で優勝した勝山翔紀さん(左)と審査員のPLM CTO平山太朗氏(右)
最年少で優勝した勝山翔紀さん(左)と審査員のPLM CTO平山太朗氏(右)

 9月28日、渋谷にて、「パ・リーグ 学生ベースボールアプリ選手権-テクノロジーで野球をもっとおもしろく-」の本戦が開催された。

 プロ野球パ・リーグ6球団と、パシフィックリーグマーケティング株式会社(PLM)、パーソルホールディングス株式会社 、パーソルイノベーション株式会社、「TECH PLAY(テック プレイ)」がともに開催した今イベントは、学生のアイデアとテクノロジーを掛け合わせ、野球の課題解決を目指すアプリコンテストだ。

 当日は、個人・チーム混合の9組が7分間のプレゼンで、自作アプリの魅力をアピールし合った。ファンの応援動画対決をテーマとしたアプリは、文字通り野球ファン自らが応援の様子を撮影して投稿し、別のファンと得点を競うもの。応援風景のカラフルさや統一感、映ったファンの動きのユニークさ、選手へかける言葉のポジティブさをAIが判定して点数をつけるという。また、独立リーグの選手の地位向上を目指し、選手自身がファンクラブを運営して利益を得られるようにする一風変わったアプリも登場した。

「HoloLens(ホロレンズ)」を活用したアプリを体験中
「HoloLens(ホロレンズ)」を活用したアプリを体験中

 発表し終わった参加者に対し、審査員の方々はあたたかい労いの言葉をかけ、イベントは終始和やかな雰囲気で進行した。バーチャル空間でストライクゾーンを表示し、実際の野球の試合でストライク・ボールを判定できるアプリを搭載した「HoloLens(ホロレンズ)」を装着した参加者が登壇すると、会場は「未来が来た」と大いに湧いた。

 しかし、学生たちの斬新なアイデアと野球愛がぶつかり合った結果、審査は非常に難航。予定の時間を延長したのち、見事栄冠に輝いたのは最年少参加者・海城中学校3年生の勝山翔紀さん(15)だった。勝山さんは「スタメシ」と題し、パ・リーグ本拠地球場の飲食店・スタジアムグルメを網羅したアプリを発表。「良い経験ができました」と、あどけない制服姿で豪華賞品を手にした。

プレゼンする奥山さん
プレゼンする奥山さん

 審査員特別賞には、宮台康平投手(北海道日本ハム)の同級生で、東京大学大学院2年の奥山理奈さん(23)が選出された。唯一の女性参加者だが、元大学野球部のマネージャーで、野球愛はかなりのもの。自身の東大野球部マネージャー時代に感じた球種が判断できないという悩みをもとに開発した、動画から変化球の種類を判別するアプリで審査員の支持を得た。

 昨今のスポーツ業界ではテクノロジーやデータが重要視されているものの、日本野球界はそれらを推進できるエンジニアやデータサイエンティストが不足しており、まだまだ活用基盤が整備できていない状況だ。しかし今回の参加者のように、野球を愛しているからこそ現状に危機感を持ち、柔軟に課題解決に取り組む若者たちはいる。デジタル・ネイティブの新しい発想が、これからますますスポーツ界の発展には欠かせないものとなるだろう。

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