9回はDHを解除し慣れ親しんだ一塁へ、強烈なライナーを横っ飛びで好捕し試合終了
■千葉ロッテ 6-1 北海道日本ハム(23日・ZOZOマリン)
千葉ロッテ・福浦和也内野手が23日、本拠地ZOZOマリンスタジアムで行われた引退試合(北海道日本ハム戦)に「7番・DH」でスタメン出場。「やはり甘くはなかった。準備して挑んだが結果が出なかった。悔いはないです」と、4打数無安打に終わった現役最終試合の結果を、納得の表情で受け止めた。
「打撃投手が一生懸命投げているボールで詰まっているから不安ですけども、なんとかバットに当てられるように、そしてチームが勝てるように頑張りたい。それだけです」
試合前、冗談まじりに話していた福浦。引退試合の打撃結果は、遊ゴロ、投ゴロ、右飛、捕飛で4打数無安打。幕張の安打製造機のバットから、約1年ぶりの快音は聞こえなかった。
「頭から使ってくれる監督の期待に応えたかったが、やっぱり甘くなかった。もう少し頑張りたかったが精一杯でした。(引退試合に向けて)準備して臨んだのですが、やっぱり結果が出なかったので、悔いはないです」。
引退試合の結果を、清々しい表情で語った福浦。通算安打、ちょうど2000安打での現役引退となった。
これまで、2000安打に到達した選手で一番安打数が少なかったのは、2000年に現役を引退した駒田徳広氏(元巨人・横浜)の2006安打。「それが僕の実力ですし、ここまでやらせてもらって最後に4打席も。しかもCSがかかっている大事な試合なのに。楽しかったし、嬉しかったです」と、満足気に笑みを浮かべた。
「僕が生まれ育った千葉のチームに入団できた。それだけで幸せでしたし、まさか26年もプレーすると思っていなかった。本当に色々な方に助けられた26年間。ドラフト最下位で指名されて、ここまでこれた。たくさんの人に恵まれて、本当に幸せな野球人生だったと思います」
打撃では4打数無安打に終わったが最後は劇的な幕切れ
そんな福浦に、現役ラストシーンで奇跡のような瞬間が訪れた。
9回、DHを解除し、福浦が慣れ親しんだ一塁の守備位置へ。5点リードのマウンドには、登板志願の守護神・益田。2死一塁から「福浦さんに打球を捕らせたかった」と、左打者の平沼に対し、内角直球を続けると、2球目を強振した打球は、バッテリーの狙い通りに一、二塁間へ。「あんなライナーになるような打球のイメージはしていませんでした」と、益田も想定外の強烈なライナーとなったが、ゴールデングラブ3度受賞の名手は、これを横っ飛びで好捕しゲームセット。捕球した福浦の満面の笑みで、グランドフィナーレを迎えた。
「ウイニングボール、もらっちゃったよー! 2軍で昨日はもらえなかったから」と、自ら捕球した記念球を嬉しそうに報道陣に見せていた福浦。「最後は飛んでくると思わなかった。あれをスルーしたらさすがにあれかなと。体が勝手に反応したんですかね。僕の実力じゃないです。みんなに捕らせてもらった」と、現役最後の大ファインプレーを、照れ臭そうに振り返った。
試合後の引退セレモニーでは、これまで出会った全ての人へ感謝の言葉の述べると、観客席から紙吹雪が降り注ぐ中、笑顔でZOZOマリンスタジアムを一周。千葉ロッテ一筋26年「幕張の安打製造機」と言われた稀代のバットマン・福浦和也。最後まで涙を見せることなく、グラウンドを後にした。
(岩国誠 / Makoto Iwakuni)
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