「毎日がドキドキしていて…」千葉ロッテ田村、準備を怠らず値千金のサヨナラ弾

Full-Count 岩国誠

2019.9.5(木) 11:16

千葉ロッテ・田村龍弘※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)
千葉ロッテ・田村龍弘※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)

9回に自身初のサヨナラ本塁打、スライダーを「狙っていました」

 千葉ロッテ・田村龍弘捕手が4日の北海道日本ハム戦(ZOZOマリン)に「9番・捕手」でスタメン出場。9回に自身初のサヨナラ3号2ランを放ち、接戦に終止符を打った。

 2-2の同点で迎えた9回。1死から、途中出場の藤岡がヒットで出塁。8番・レアードが外角低めの変化球に空振り三振で2死となったところで、田村に打順が回った。

 ベンチに清田を残していたが、井口監督は「次の守りも考えて。(田村は)ああいう横手投げが好きなタイプなので」と、そのまま田村を打席へ。北海道日本ハムのクローザー・秋吉が投じた2球目のスライダーを完璧にとらえると、打球は右翼スタンド中段へ。プロ初となるサヨナラ弾でチームに勝利をもたらした。

 お立ち台では「狙って打てたら(本塁打)3本ということはない。真っ直ぐ狙いでたまたま」と謙遜していた田村だが、実際には「決めたいという気持ちはありましたが、とにかく球種を絞ってと思っていました。(スライダーは)狙っていました」と狙い済ましての一発だった。

 この回、田村と対峙するまでの秋吉は、打者3人に17球を投げていたが、そのうちスライダーは13球。田村はそのスライダーに照準を絞り、自身初のサヨナラアーチを描いて見せた。

 昨シーズンは全試合に出場し、正捕手としてその地位を確立したかに見えた田村だったが、今年は序盤の5月に右太腿裏肉離れで戦線を離脱。1か月で復帰するものの「好不調の波がずっと激しい」と自ら分析しているように成績が安定せず、出場は84試合。他の捕手にスタメンマスクを譲ることも多くなった。

「スタメンでなくても代打や、途中の守備から入ったりで、いい準備ができていた。柿沼さんが出ていて(リード面の)良いところを見て、真似できることもいっぱいあった。去年はずっと出ていたのですが、スタメンで出ない日が増えて、しっかりそういうところを見て、学ぶことも多かったです」

昨年とは違う状況も「勝つことだけを考えて、必死にリードしています」

 昨年とは違う自身の現状をプラスに捉えて、日々を過ごしてきた。

「打てていなかったし、投手陣も引っ張っていけなかった。スタメン落ちで悔しい思いもしましたが、今は勝つことだけを考えて、必死にリードしています」

 この日、今季ともに切磋琢磨してきた柿沼が死球による骨折でチームを離脱。熾烈なCS争いの真っ最中にあるチームにおいて、田村にかかる責任もこれまで以上に大きなものとなってくる。

「去年はこういうことがなかったので、毎日がドキドキしていて、いいプレッシャーの中でできています。その中で勝てていることもいいことだと思うので、あとはやりきるだけです」

 自身の境遇に腐ることなく、チームの勝利のため準備を怠らなかった“正捕手”は、激戦必至のCS争いを「勝ちます!」と、お立ち台で力強く宣言した。残り16試合、自ら発した言葉を具現化するべく、扇の要として攻守でチームを支えていく。

(岩国誠 / Makoto Iwakuni)

記事提供:Full-Count

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