2015年オフに国内FA権取得「悩んだんですけど…」
2011年以降で5度の日本一を誇るなど、常勝軍団として球界をリードしている福岡ソフトバンク。2000年代後半から強豪へと上り詰めたチームを牽引したのが、2008年にドラフト5位で入団した摂津正氏だ。昨季限りで現役を引退するまで、通算282試合登板(140先発)で79勝49敗1セーブ73ホールド、防御率2.98をマーク。入団から2年連続で最優秀中継ぎ投手に輝き、先発転向後の2012年には沢村賞も受賞した。
秋田経法大付高からJR東日本東北に入社し、「エース」と呼ばれるようになってからは毎年のようにドラフト候補と言われながら、実際に指名を受けたのは26歳の時。“遅咲き”の右腕は福岡ソフトバンクで10年間のプロ生活を全うした。国内FA権を取得した際には、権利を行使せずに3年契約での残留を決めたが、実際には故郷の東北へ戻ることも考えていたという。Full-Countのインタビューに応じ、当時の心境と、福岡ソフトバンク残留を決めた胸の内を明かした。
摂津氏がFA権を取得したのは2015年。4年連続開幕投手を務め、5年連続の2桁勝利を挙げた年だったが、オフに権利を行使せずに福岡ソフトバンクと複数年契約を結んだ。“福岡ソフトバンク愛”を貫く形となったが、その決断に至るまで、実際には揺れる思いもあったという。
新しいチームを見てみようという思いは「正直ありましたよ」と明かした摂津氏。秋田出身で、地元・東北への思いは強い。埼玉西武から地元の楽天に移籍した岸孝之投手らの気持ちもよく分かるという。
「地元の仙台でやりたいという気持ちもありましたし、悩んだんですけどね。家族のこととかを考えたら福岡が一番だということで決めました。今までずっとやってきたチームですしね。でも、本当に東北でやりたいという気持ちもありました。やっぱり地元ですからね」
故郷・東北への思い、そして、プロ入りからのキャリアを送ってきた福岡への思い。その間で気持ちは揺れ動いたが、決断するに至ってある決め手もあったという。
「もし2013年の楽天の日本一がなかったら、行っていたかもしれません。そこ(2013年)で優勝したというのは、自分の中でもホッとした部分もありましたし。でも、自分の中で東北の力になれたらというのもあったので。そこはだいぶ悩みました。(東北のことは)ずっと気になると思いますね」
FA権を取得する2年前に楽天が初の日本一に輝いてなければ、地元でプレーすることを選んでいたかもしれない。ただ、最終的には、7年間プレーし、愛着ある福岡ソフトバンクでプレーを続けることを選択。そして、福岡ソフトバンク一筋で10年プレーし、昨季限りで現役生活に幕を下ろした。
(Full-Count編集部)
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