ここまで1軍昇格はないが2軍では4番に座り11本塁打をマーク
入団2年目を迎える今季、飛躍が大きく期待される千葉ロッテの若き大砲・安田尚憲内野手。1軍昇格こそないものの、ファームでは出場した77試合すべてで4番を任される20歳の若者は今、何を思うのか。
7月中旬の千葉ロッテ浦和球場。強い日差しが照りつける中、懸命に声を出す安田の姿がそこにはあった。7月26日現在、ファーム77試合で4番を務める千葉ロッテの若き大砲は、打率.259、11本塁打(リーグトップタイ)、56打点(リーグトップ)とその役割を見事に果たしている。
「もっともっと、ホームランを打てていればよかったんですけど」と、本塁打数で少し満足できていない様子だったが、「最近ではいい形で打席にも入れていますし、昨年より着実に成長できていると思っているので、このまま継続してやっていきたい」と、自身の中では、昨年からの成長を実感している。
昨年とは違い「(2年目で)気持ちの余裕も出てきましたし、体力的な余裕も出てきている」と確かな手ごたえも感じている。
「難しいんですけど。打席でのボールの見え方であったり、余裕であったり。スイング自体も強くなってきていますし、打席の内容が徐々にですけど、よくなってきていると思っています。まだまだなんですけども、去年だったら簡単にアウトになってしまっていたものが、今年は粘ってヒットにできたり、ボールの飛距離も去年よりだいぶ出てきているので、そのあたりが成長できているんじゃなかなと思っています」
特に取り込んでいることには「下(半身)を使ってしっかり振ること」を挙げた。「そこをメインに考えてやっています。それができるようになって今、だいぶスイングが強くなってきているので、バッティング練習でのボールの飛び方も変わってきている。そこは今、意識しているところです」
5月のある日。雨でファームの試合が中止になった時、福浦和也内野手兼打撃コーチとともに、室内練習場にてボールを打ち上げる練習を行っていた。
今岡2軍監督からは「4番が打ったらチームは勝てる。逆に打てなかったらお前のせい」
「(上部のネットに)溜まっているボールを狙っているわけではないのですが、上に(ボールを)あげる練習でした。意外とアッパースイングで打っても上に上がらないんですよね。しっかり下を使って打ったら、(ボールが)きれいに上がるんだと」
通常より重いボールで、正面から緩くトスあげされたボールを、アッパースイングで上に打ち上げるのではなく、しっかりレベルスイングでボールの下の部分を叩き、ボールにバックスピンをかけるような形で打ち上げる。そのためにはやはり、下半身を意識したスイングでないと上に上がらないという。
「ほぼ毎日やっているんですがあの練習は、あまり上(上体)を考えないようにしてやっています。意識というか、技術というか。そこは良くなってきていると思います」
日々の積み重ねから、打撃面では確かな手応えをつかみつつある。その若き大砲は今季、今岡2軍監督から、ここまで出場したすべての試合で4番を任されている。「監督からは『4番が打ったらチームは勝てる。逆に打てなかったらお前のせいだっていうくらいの気持ちで立て』と言われています。それは1、2軍関係なくそうだぞ、と。そこのプレッシャーというか役割は大きいと思うので、そこはしっかり意識してやっていきたい」と、主軸を任される意味を十分に理解している。
高卒2年目の同期では北海道日本ハム・清宮幸太郎内野手や、東京ヤクルト・村上宗隆内野手らが1軍で躍動。その活躍について「意識はします」という。「特に村上は、今年一気に行っている。去年からすごいなというのは重々知っていたんですが、やっぱり僕も頑張らないとなと。ただ、1軍にでないと話にならない。1軍と2軍のピッチャー、というか野球がまた違うと思うので、まずはしっかり2軍で準備して、いつ上の呼ばれてもいいようにやっていきたいと思います」
周囲の期待を一身に背負う2年目の若き大砲・安田尚憲。来るべき日に向けて、今日もファームで自らと向き合いながら、日々結果を積み上げていく。
(岩国誠 / Makoto Iwakuni)
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