今季、千葉ロッテ・石川歩投手のピッチングが冴え渡っている。8月17日の試合終了時点でリーグトップタイの12勝、リーグトップの防御率1.59と好成績を残す。特に負け数はここまでわずかに3と、プロ入りからの過去2年で10勝8敗(1年目)、12勝12敗(2年目)と負け数がそれなりに多かっただけに、大きな成長と言えるだろう。
中でも12日の福岡ソフトバンク戦は最多勝争いを繰り広げるベテラン・和田毅投手との投げ合いとなった。試合は石川投手、和田投手の投げ合いが続き、5回まで0対0の投手戦となる。すると千葉ロッテ打線は6回に主砲のデスパイネ選手がバックスクリーンに飛び込む2ランを放ち、2対0と千葉ロッテがリードする。援護を受けた石川投手は強力な福岡ソフトバンク打線をわずか2安打に封じ完封勝利。12勝目を挙げリーグトップの和田投手に並んだ。
ここまで好調を続ける石川投手だが、野球のデータ指標となっているセイバーメトリクスではどのような数値が見られるかを取り上げてみよう。
石川投手のピッチングの大きな特徴と言えば、四球をあまり出さないテンポの良さが挙げられる。ストレートを中心にスライダー、カーブ、シンカーといった変化球を操り打者を打ち取っていく。セイバーメトリクスでは投手のコントロールの良さを示す指標として「BB/9=(与四球×9)÷投球回数」というものがある。これは1試合にどれだけ四球を与えたかを示す。石川投手の今季のBB/9はリーグトップの1.16(2位は楽天・美馬投手の1.91)。1試合で平均与四球が1強ということになる。石川投手は昨年もリーグトップの1.71を出していたが、今年はさらに少ない数字となっている。
また、1イニングで何人走者を出したかを示す指標「WHIP= (被安打+与四球)÷投球回数」で見ると、石川投手のWHIPはリーグトップの0.97(2位は福岡ソフトバンク・千賀投手の1.01)だ。パ・リーグの規定投球回数に到達した投手の中で、0点台は石川投手のみ。一般的にWHIP=1.30が平均的な数値と言われ、0点台となるとリーグの中でも特に優れた投手と評価される。
セイバーメトリクスの投手の数値で最もポピュラーとされているのが「QS」(クオリティースタート)。6イニングス以上を投げ自責点3以内に抑えるとつく数値であり、先発投手が勝ち負けに関わらずどのくらい試合を作ったかを示す。石川投手のQS率は82.4%とパ・リーグでは楽天の則本昂大投手の90.5%に次ぐ数字で、北海道日本ハムの有原航平投手と並ぶリーグ2位タイだ。石川投手の過去のQS率を見ると1年目の2014年が56%、2年目の昨年が74.1%と年々試合を作る割合が増えていることが分かる。
順調に勝ち星を重ねていく石川投手はプロ1年目に新人王を受賞。しかし、これまで主要タイトルには無縁だった。現在は2部門でタイトル争いのトップに立っており、今の調子を続けていけば初めての主要タイトル獲得が見えてくる。シーズン終了後にタイトルを手にしているか、石川投手の投球に注目していきたい。
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