3月4日、札幌ドームで行われたオープン戦。一際存在感を示したのは、颯爽とグラウンドを駆け回り、見事な悪球打ちを披露し、4安打2盗塁を決めたこの男だろう。
どこにいても、不思議と存在感のあるオールドスタイル。俊足、強肩、スイッチヒッター。多くの魅力を備えた千葉ロッテの背番号「10」、加藤翔平選手のことだ。
プロ初打席で強烈なインパクトを残してから5年。プロの高い壁に挑み、その都度挫折を味わってきた若武者が、今年こそは新体制のチームをけん引してくれる予感がする。
千葉ロッテの「持ってる男」
上武大学出身の加藤選手は、ルーキーイヤーの2013年に、新人としては63年ぶり2人目となるプロ初打席初球本塁打を放って鮮烈デビューを飾ると、フレッシュオールスターでも先制2ランを決め、クライマックスシリーズ初打席でも3ラン。思わず「持っている」と言いたくなるような離れ業で、プロ初年度からその存在をド派手にアピールした。
その後は攻守で壁にぶつかり、2016年までは自身の能力をなかなか成績に結び付けられず。しかし、プロ5年目となる昨季は、再調整を余儀なくされた時期こそあったものの、打率、本塁打、打点、盗塁など各部門で自己最高の数字を残した。
また、井口選手(現・監督)の引退試合だった昨年9月24日の北海道日本ハム戦では、1番打者として起用され、5打数4安打と躍動。最後の打席でもきっちり犠打を決め、鈴木選手の劇的なサヨナラ打へとつなぐ重要な役割を果たしている。
不動のレギュラーとなり、強い千葉ロッテの黎明を導けるか
今季からは、5年間千葉ロッテを率いた伊東氏に代わり、井口新監督がその役職を引き継ぐ。1つの区切りを迎えたチームにとって、2018年はいわば新しい時代の幕開けだ。
過去4年間、自身を突き放し続けてきた壁を乗り越えた加藤選手は、今年で27歳になる。まだまだ若いとはいえ、グラウンド内外でチームを引っ張る存在になることを求められる、そしてそれに応えられる器であるはずだ。今後、千葉ロッテが新たな明るい時代を築いていくためには、この男の存在を欠くことはできないだろう。
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