復帰7戦26打席目で左中間へ特大弾「打撃に関しては感覚が戻れば十分同じ感じでいける」
■エンゼルス 5-4 ツインズ(日本時間14日・ミネソタ)
エンゼルスの大谷翔平投手が13日(日本時間14日)、待望の復帰後初アーチをマークした。敵地・ツインズ戦で2試合ぶりに「3番・指名打者」でスタメン出場。1点を追う3回の第2打席で一時逆転の1号2ランを放った。復帰7戦26打席目で左中間へ130メートルの特大弾をかけた。9回の第5打席でも右前安打を放ち、3打数で2安打1本塁打2打点。エンゼルスも接戦を制し、これで大谷が出場した6試合は5勝1敗、打点を挙げた4試合は全勝となった。
破壊力満点だった。大谷が完璧に捉えた一撃はバックスクリーン左へ伸びていった。敵地ファンも打たれた瞬間に被弾を確信。球場中が固唾を飲んで見守った滞空時間の長い打球は左中間2階席の電光掲示板に直撃した。待望の復帰弾は一時逆転の1号2ランだ。
「多少打ち損じてもいくのは分かっていた。いくなと思ってました。いい打球だったと思います」
1点を追う4回無死三塁。マウンドには同じ94年生まれの本格派右腕ベリオスだ。3ボール1ストライク。5球目の真ん中に入った92マイル(148.6キロ)直球を逃さなかった。復帰から7戦26打席で生まれた一発は飛距離429フィート(約130.8メートル)、打球速度111.6マイル(約179.6キロ)。昨年9月26日の本拠地レンジャーズ戦以来229日ぶりの本塁打だった。試合後は少しだけ安堵感をにじませた。
「(ベリオスは)バランスよく、どの球種も投げてくる投手。三塁にランナーがいたので外野までしっかり打てればいいと思っていた。明日以降リラックスして打席に入れるかなと。やっぱり早めに一本出ると、ちょっと楽になるかなと思います」
手術前と変わらぬ打撃だった。昨年10月に右肘のトミー・ジョン手術を受け、7か月間に及ぶ地道なリハビリ生活。大谷は「普通のオフでした。順調に来ていたので。辛いなと思うこともなかったし、思っていたよりも全然痛くなかった」とケロッと振り返るが、周囲は心穏やかな日ばかりではなかった。日本人17年ぶりの新人王獲得にわいた昨年12月。都内ホテルで夜に行われた表彰式での出来事だ。大谷がホテル内を移動している最中、熱狂的なファンらが集結。警備員がおらず導線のなかった会場は一瞬にしてパニック状態に。大谷は握手を求めたとみられる一部ファンから約2か月前に初めてメスを入れた右腕を引っ張られた。
水原通訳「怖かった。本当に怪我がなくてよかった」
中日・松坂は今春キャンプ中に同じようなファンとの接触で右肩を負傷した。大谷も一歩間違えれば再発の危険性があったが、その後のイベントも何事もなかったかのように出席した。「(ファンも)悪気はなかったと思いますが、ファンの方に右腕を引っ張られたりするのは怖かった。本当に怪我がなくてよかった」と水原通訳。「打撃に関しては感覚が戻れば、十分に昨季と同じ感じでいける」と大谷は振り返った。衝動的に右腕を引っ張ってしまったファンをも救う一発となったに違いない。
この日はメジャー復帰後初の投球練習。術後最長110フィート(約33.5メートル)の距離をとって70球を投げた。60フィート(約18.3メートル)の距離では力感の入った投球だった。試合本番では、ここ3戦四球なしだったベリオスから初回2死、6回2死一塁と2四球を選び、9回先頭では左腕ロジャースのスライダーを拾って右前打。出場2戦連続、今季3度目のマルチ安打をマークした。
「本来のリズムはこっちなので。投げる練習をして、打つ練習もして試合に入るのがスタンダート。投球の方は焦る必要はない。ゆっくりめでメニューを組んでます。物足りないぐらいがちょうどいい」
「配球も含めて攻め方も変わってくる。自分も進歩しないと、去年と同じ成績、または、それ以上の成績は残せない」
2020年の二刀流復活へリハビリを進める中、打者・大谷として次なる豪快アーチを求めていく。
(Full-Count編集部)
記事提供: