9試合で7勝2敗、5連勝締めのGWを支えた鷹の若い力
2年ぶりのリーグ優勝、そして3年連続の日本一を目指す福岡ソフトバンクが好調だ。10連休となったゴールデンウィークで9試合を戦い7勝2敗。最後は5連勝で締めくくった。
12球団で20勝1番乗り。33試合を終えて20勝11敗2分け、貯金を今季最多の9にまで伸ばしている。2位で埼玉西武、北海道日本ハム、楽天が15勝15敗の5割で並び、5位の千葉ロッテが14勝16敗1分けとなっており、パ・リーグの貯金は福岡ソフトバンクの“独り占め”だ。
福岡ソフトバンクとて、チーム状態は決して良くはない。野手では主砲の柳田をはじめ、中村晃、福田秀平、投手でも石川らを怪我で欠く。上林も右手甲の負傷(6日に剥離骨折が判明)を抱え、今宮や内川、デスパイネも不安を抱えている。
その中でもパ・リーグ首位を走るだけの原動力となっているのは、12球団で唯一チーム防御率2点台の2.78を誇る投手陣、そして、台頭しつつある若い選手たちだ。投手陣ではドラフト1位の甲斐野がデビューから13試合連続無失点とセットアッパーとして活躍し、4月半ばに1軍昇格を果たした泉圭輔が既に2勝をマークしている。
怪我人続出の野手では3年目の三森と2年目の周東の奮闘が際立つ。三森は二塁や一塁として15試合に出場し、ここまで打率.270をマーク。周東も内外野で出場し、20試合で打率.282を記録。ここまで9盗塁を決め、失敗は無し。盗塁成功率100%を維持し、その韋駄天ぶりをいかんなく発揮している。
千賀や甲斐だけでなく、大竹や川原、周東も活躍中
近年、主力の故障離脱が相次ぎながら、その選手層の厚さでカバーし、常に優勝争いを演じている福岡ソフトバンク。今季も改めて選手層の厚さを感じさせる戦いを展開しているが、現在、1軍の出場選手登録枠の中に育成選手出身者が、実に8人も存在しているところも特筆すべきところだろう。
2年連続開幕投手を務めた千賀や、“甲斐キャノン”でブレークした甲斐は知られた存在。ここまで5試合で防御率0.72とエース級の働きを見せる大竹耕太郎や、牧原大成も育成出身だ。キューバ人助っ人のモイネロも入団当時は育成契約であり、釜元豪も2011年の育成ドラフト1巡目で指名された選手だった。
中継ぎの1人としてここまで10試合に登板している川原弘之は2009年のドラフト2位で入団したが、相次ぐ故障で2015年オフから育成契約に。周東佑京は2017年の育成ドラフト2巡目。川原と周東は今季開幕直前に育成契約から支配下への昇格を勝ち取った。
例えば、甲斐はそのスローイングを認められ、川原は左腕ながら150キロを超える剛速球、周東は類稀なるそのスピードと、それぞれに秀でた一芸があったことで福岡ソフトバンクへ加わることに。プロ入り当初は総合力ではプロのレベルに及ばなかった彼らが、いまパ・リーグ首位を走る福岡ソフトバンクを支えている。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)
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