福岡ソフトバンク戦で2イニングスを無安打無失点、対戦が決まり「最初はマジか」も…
懐かしい顔が、生目の杜運動公園に戻ってきた。27日、アイビースタジアムで行われた「球春みやざきベースボールゲームズ」の福岡ソフトバンク対千葉ロッテ戦。試合前、そして試合後と千葉ロッテベンチと福岡ソフトバンクベンチを行ったり来たりし、忙しなく挨拶に回る姿があった。
大隣憲司投手である。昨季限りで11年間在籍した福岡ソフトバンクを戦力外になり、退団。12球団合同トライアウト、そして千葉ロッテの春季キャンプでの入団テストを経て合格した。
2月16日にようやく2018年の契約を結び、晴れて千葉ロッテの一員となった男にとって、1年ぶりに戻ってきたかつてのキャンプ地。奇しくもこの地で、千葉ロッテの選手として初の対外試合のマウンドに立つことになった。
3回から2番手としてマウンドに上がった大隣投手。福岡ソフトバンク時代と変わらぬ正確なコントロールとキレ、緩急で、かつてのチームメートたちを手玉に取った。1イニング目は甲斐選手、本多選手、高田選手を相次いで打ち取り3者凡退。
2イニングス目の4回は柳田選手、内川選手を中飛、遊ゴロに打ち取り、中村晃選手には際どいボールで四球を与えたが、最後は松田選手の代打で登場した西田選手を遊ゴロに。2回無安打無失点。上々の対外試合初登板となった。
変わらなかった福岡ソフトバンクファンからの大声援「嬉しい気持ちになりました」
特別な感情が湧き上がってきて当然だ。打席で見る顔は、11年間に渡り、ともに戦ってきた仲間たちばかり。「一緒にやってきたメンバーばっかり。敵となってくると、気持ちが全然違う。抑えられて良かったなと思います」と振り返る。
入団が決まり、この日の登板が決まった際は「最初はマジか」と思ったという。ただ、徐々に気持ちは変化した。「決まってからは楽しみだったし、敵として戦っていかないといけないんだなという気持ちが出てきた。出来れば投げたくない打線。ただパ・リーグにいるならば、投げないことはないので」と笑った。
1年ぶりに足を踏み入れた、かつてのキャンプ地。着ているユニホームは変わり「不思議な感覚でしたけどね。敵として宮崎に来ることはないんで、不思議な感覚でした」という。ただ、変わらなかったものが1つあった。
それは、宮崎の福岡ソフトバンクファンから贈られる温かい声援だ。登板に際し、場内にアナウンスがかかると、大きな拍手と歓声に迎えられた。「本当に大きな歓声をもらって、嬉しい気持ちになりました」。2回を無失点で抑えると、またスタンドは沸いた。
正式に契約を結んでから、まだ2週間弱しか経っていない。再起への道は、始まったばかりだ。
「契約していただいただけでもありがたいことなのに、初めての登板がホークス。同じリーグなので、戦っていかないといけないチームですから、ゼロに抑えられたらいいなという気持ちでマウンドに上がりました」と対外試合初登板を終えて、ホッと息をついた大隣投手。
「開幕ローテに入っていけるように頑張りたい。1試合でも多く、投げている姿を見せられるようにしたいです」。千葉ロッテファンだけではない。大歓声で11年間を支えた福岡ソフトバンクファンも、マウンドで輝く姿を待っているに違いない。
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