「汚い真っ直ぐ」が武器、3年目野澤が楽天との練習試合で好投
A組がキャンプ打ち上げを迎えた2月26日、福岡ソフトバンクのキャンプ地生目の杜運動公園。主力組が柳田悠岐選手会長の音頭のもと、1本締めで約1カ月のキャンプを締めたアイビースタジアムのすぐ横にある第2球場では、1人の育成右腕が大きなインパクトを与えた。
B組が行なった楽天との練習試合。27日から始まる「球春みやざきベースボールゲームズ」に備え、A組の選手たちのほとんどが宿舎へと戻っていた午後3時過ぎ、その20歳は最終回の9回にマウンドに上がった。
野澤佑斗投手。2015年の育成ドラフト1位で、つくば秀英高から入団した右サイドハンドの投手である。
昨季から真っ直ぐは全てツーシームにし、打者の手元で動く「汚い真っ直ぐ」が武器。42試合に投げ、防御率1.02と好投を続けた昨季のウエスタンリーグ、そしてこのキャンプでのアピールが実り、キャンプ途中からはA組に昇格している期待の星である。
その野澤投手。先頭の向谷選手を外角のスライダーで空振り三振に切ると、続く石原選手は外角へのスライダーで見逃し三振。最後は松本選手を真っ直ぐで詰まらせて投ゴロに。
危なげなく三者凡退に切って取り「腕を振ることは出来ましたし、持ち味を出せたのかな、と思います」と、納得の表情で振り返った。
工藤監督も「アイツは打ちにくいと思うよ」
A組に昇格しながら、実戦登板は14日に行われた練習試合パナソニック戦以来。A組は4度の紅白戦を実施したが、1試合も登板させてもらえなかった。
「アイツは打ちにくいと思うよ」とその投球を見守っていた工藤公康監督は「味方相手には投げさせれないよ、怖くて」と冗談交じりに笑う。
第2クールに、B組でのフリー打撃に登板した際に、味方に死球を与えていた野澤投手。たまにある抜け球と、“癖が凄い”球筋のために、これを機に味方への投球を禁じられたのだった。
「僕は対外試合専門ですから」と笑い、全く意に介さない野澤投手。逆に、荒れ球のイメージを歓迎する。
「怖いというイメージがついてくれれば、僕にとっては得なことなので。自分としてはいいことだと思っています」
楽天サイドが、この野澤投手の特徴を知ってか知らずか、打者の腰が幾分引けているようにも感じた。味方にとっては“危険人物”かもしれないが、敵に回すと厄介なのか。野澤佑斗。一気にブレイクする可能性を秘めている。
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