千葉ロッテ涌井が記録した「無四球試合」 達成回数の現役最高は上原浩治の「21」

Full-Count 広尾晃

2019.4.17(水) 11:26

千葉ロッテ・涌井秀章※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)
千葉ロッテ・涌井秀章※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)

歴代1位は鈴木啓示の「78」、現役最高の上原浩治は球史に残るコントロールピッチャー

 4月16日、千葉ロッテの涌井秀章が福岡ソフトバンクを完封した。涌井は2安打されたものの無四球。これは埼玉西武時代の2010年7月16日の千葉ロッテ戦以来8年9か月ぶりだった。また投手個人の「無四球試合」は今季両リーグを通じて初だ。

「無四球試合」は、NPBの公式記録となっている。投手が完投して、四死球を1個も出さなかった試合のことだ。勝敗には関係がない。またコールドゲームでも記録される。

 かつては、「完封勝利(投手が完投して0封し、勝利すること)」と並んで、投手の最高のリザルトの一つとされたが、今はあまり大きく取り上げられない。そもそも、今の野球では投手の完投が非常に減少しているので、その上に「無四球」という試合はさらにレアなケースになっているのだ。

 1969年の個人での無四球試合は両リーグ合わせて780試合で72試合あったが、2018年は858試合で11試合に減っている(ちなみにチームでの無四球試合は1969年は133試合、2018年は82試合だった)。

 かつては「シーズン最多無四球試合」は、タイトルではないにしても投手の実力を示す指標として大きく取り上げられた。しかし、昨今は絶対数が減っているため、「無四球試合」そのものが“絶滅危惧種”的な扱いになっている。

◯NPBの個人通算無四球試合5傑

1 鈴木啓示 78(1966-1985)703登板
2 小山正明 73(1953-1973)856登板
3 野口二郎 57(1939-1952)517登板
4 土橋正幸 46(1956-1967)455登板
5 別所毅彦 43(1942-1960)662登板

◯現役の個人通算無四球試合5傑

1 上原浩治(巨) 21(1999-2018)312登板
2 成瀬善久(オ) 13(2006-2017)249登板
2 涌井秀章(ロ) 13(2005-2019)402登板
4 金子弌大(日) 12(2006-2019)320登板
5 岩隈久志(巨) 11(2001-2011)226登板
5 石川雅規(ヤ) 11(2002-2019)452登板
5 菅野智之(巨) 11(2013-2019)157登板

 歴代の最多無四球試合記録と現役では数字に大きな開きがある。

 歴代1位の鈴木啓示は、近鉄一筋20年で317勝(238敗)した大投手だ。鈴木を語る時に「無四球試合」は欠かすことができない。

 現役の1位は上原浩治。上原は1500イニング以上投げた投手の中でK/BB(奪三振数を与四球数で割った数値)が、歴代1位の6.64。球史に残るコントロールピッチャーだが、今は救援投手であり、無四球試合は今後増えそうにない。

 現役では、巨人の菅野智之が、3、3、4と3年連続でリーグ最多無四球試合を記録。通算では現役5位タイの11試合だが、脂の乗り切った盛りでもあり、これからも大いに期待できるだろう。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

記事提供:Full-Count

記事提供:

Full-Count 広尾晃

この記事をシェア

  • X
  • Facebook
  • LINE