辻監督がベンチに呼び戻し…「自分が打てるところを思い切り振れ」
■埼玉西武 1-0 オリックス(12日・メットライフ)
埼玉西武の愛斗外野手が12日のオリックス戦(メットライフ)でチームのサヨナラ勝ちを呼び込んだ。
7回の守備から出場すると、両軍無得点で迎えた9回1死一、ニ塁の場面で打席が回ってきた。目の前で中村が申告敬遠。相手はプロ入り後いまだノーヒットの4年目・愛斗との勝負を選択した。
辻監督は一度、愛斗をベンチに呼び戻した。「代打を出される」。愛斗の頭によぎったが、辻監督は「外の球を追うな。自分が打てるところを思い切り振れ」と若獅子の背中を押した。
ネクストで大きく背中をそらし、バットを担いだ。オリックス4番手の比嘉のスライダーの前に追い込まれると、外野は前進。「詰まって内野フライになるのが一番だめだと思った。必死に当てに行った」と4球目のストレートをひっかけセカンドゴロ。一塁まで全力で駆け抜けると、併殺を急いだショートの福田の悪送球を誘った。その間に二塁走者の外崎が生還した。
サヨナラ勝利にベンチから秋山が一目散に愛斗めがけて駆け寄り歓喜のハグ。チームメートから次々と水をかけられると、笑顔がはじけた。
しかし試合後には「相手のエラーだし、本当は打ちたかった」と悔しさをにじませた愛斗。プロ入り4年目のシーズンで初めて開幕1軍の切符をつかんだが、今季の出場はいまだ4試合のみ。それでも「1軍は楽しい。あんな結末でも、みんなが喜んでくれる。1勝にかける思いが違う」と自身が貢献した1勝の重みを噛みしめていた。
(安藤かなみ / Kanami Ando)
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