原点に戻り、再び頂点を目指す。楽天の今江年晶内野手は、移籍後3年目となるシーズンを迎えようとしている。これまで故障もあって本領を発揮し切れていないが、チーム内競争、そしてパ・リーグを勝ち抜いて自身3度目の栄冠を手に入れるための挑戦が始まる。
「ミスター・ロッテ」そして「シリーズ男」
PL学園で活躍した今江選手は、2001年に千葉ロッテから3巡目指名を受けてプロの門を叩いた。「ミスター・ロッテ」の背番号「8」を背負った2005年には132試合出場、打率.310とブレイクし、チームのプレーオフ制覇に貢献。日本シリーズMVPも受賞している。
2010年には自己最高の140試合出場、打率.331という素晴らしい成績を残して「史上最大の下克上」の立役者となり、2度目の日本シリーズでまたしてもMVPを獲得。再び日本一の歓喜をチームにもたらすとともに、「シリーズ男」の称号をほしいままにした。
その後も、打率3割台を4度マークした高い打撃技術と、ゴールデングラブ賞を4度受賞した巧みな三塁守備を武器にチームを支えたが、2015年オフにFAで楽天に移籍した後は相次ぐケガで本領を発揮できず。2年間で計140試合の出場にとどまっている。
「とにかく怪我をせず、試合に出ること」
ただ、昨オフの契約更改では「来季は数字よりも怪我をしないことが第一ですし、とにかく試合に出たいと思っています」と語り、現状を変えようと意気込んでいる様子だ。
さらに「自分の守っている一塁、三塁のポジションは今年ベストナインを獲った二人(銀次選手・ウィーラー選手)ですので、この二人にしっかり勝てるようにもう一度原点に戻って頂点を目指したいです」と、一からポジションを取りに行くという決意をにじませていた。
幕張のファンもその活躍をあたたかく讃えてきた
自身でも口にしているように、今江選手を取り巻く状況は厳しいものだが、かつての勇姿を古巣のファンは忘れていない。2016年、移籍後初めてQVCマリンフィールド(現・ZOZOマリンスタジアム)の打席に立った今江選手を、幕張のファンはあたたかい拍手で迎えた。
また、同年10月5日に同球場で1500試合出場を達成した際には、右翼席のファンからも熱い「今江」コールが送られた。2度の日本一をもたらした「シリーズ男」の復活を待っているのは、おそらく楽天ファンだけではないのだろう。
22歳の若さでブレイクし「ボビーチルドレン」と呼ばれた今江選手も、プロ17年目、34歳のベテランとなった。チーム内競争に打ち勝ち、自身3度目の大舞台へチームを導く原動力となれるか。杜の都に歓喜をもたらすべく、今再び頂点を狙うための挑戦が始まる。
記事提供: