どんなに優れている打者であったとしても、あらゆる場面・状況で快音を響かせてくれるわけではない。過去球界を彩った伝説的な選手たちですら、得意な場面、苦手な場面は必ず存在し、それが結果を大きく左右した。しかし首脳陣もファンも、「最も打ってほしいと望む場面」の一つである、「劣勢を打開する一打」が期待される場面での一打を彼らに期待し、その期待に彼らは見事に応えてきた。
単純にチャンスの場面に強い打者かどうかは、打撃成績欄の得点圏打率の箇所を見ていただければ一目瞭然である。ではチームが劣勢に立たされている「ビハインド時に力を発揮する選手」はどの選手なのか。これから下記で挙げる選手は、たとえ応援しているチームが負けていたとしても、彼らが打席に立つことで、逆転への足掛かりを多く生み出してくれるであろう選手たちである。
◆ビハインド時に力を発揮する主な選手(規定打席到達者)
※記録は7月27日終了段階のもの
栗山巧選手(埼玉西武)
リード時:79打数 20安打 打率.253
ビハインド時:138打数 44安打 打率.319
田村龍弘選手(千葉ロッテ)
リード時:101打数 25安打 打率.248
ビハインド時:83打数 26安打 打率.313
内川聖一選手(福岡ソフトバンク)
リード時:158打数 38安打 打率.241
ビハインド時:76打数 24安打 打率.316
長谷川勇也選手(福岡ソフトバンク)
リード時:120打数 30安打 打率.250
ビハインド時:68打数 24安打 打率.353
栗山選手、内川選手、長谷川選手は、いずれも打撃タイトルを獲得したことのある実力者。田村選手に関しては4年目ながら打撃面で大幅な成長を遂げている。今季ここまで3割近い打率を残しており、打撃トップ10入りも十分可能な位置に付ける。チームのみならず、球界待望の「打てる捕手」の仲間入りを果たそうとしている。
点差にもよるが、一般的にビハインド時(相手のリード時)には各チームの「勝利の方程式」と言われている相手のリリーフエース級のピッチャーが登板することが多く、それを打ち崩すということは容易ではない。一時の勢いだけで打てるものではなく、確かな打撃技術がなければこのような数字を残すことはできないだろう。冒頭でも述べたが、ビハインドという困難な場面でより力を発揮し、結果を残しているということは数字以上に価値があると言える。
シーズンも90試合近くを消化し、残り約50試合となった。AクラスとBクラスがくっきり分かれてしまっている今季のパ・リーグだが、まだまだ最後まで結果は分からない。まさしく、チームの劣勢をバットで救ってくれる頼れる存在に注目してみてほしい。
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