見えてきた1軍 「後悔はしていない」東北楽天・釜田が手術を受けて得られたこと

Full-Count 高橋昌江

2019.4.1(月) 19:34

東北楽天・釜田佳直※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)
東北楽天・釜田佳直※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)

イースタン・リーグ北海道日本ハム戦(鎌ケ谷)では6回無安打無失点と好投を見せる

 昨年6月に右肩と右肘の手術を受けた東北楽天・釜田佳直投手。一歩、一歩、復帰への道を進み、3月24日のイースタン・リーグ北海道日本ハム戦(鎌ケ谷)では6回無安打無失点と好投した。1軍のマウンドを目指す現在の思いを聞いた。

「いつ、どうなるかは分からないので常に気は張っていますが、体、元気ですね」

 そう語る声には張りがあった。東北楽天の8年目右腕・釜田の声だ。

 昨年6月25日、釜田が受けた手術は「右肩ベネット骨棘切除術および後方関節包解離術」と「右肘クリーニング術」。復帰まで6ヶ月と診断された。最初はわずかだった痛みが「もう、手術しないと投げられない状態」と言うほどで決断した。

「手術をしなければそのまま終わっている。手術をやってみてどうなるかも、やってみないとわからないと思ったので、後悔はなかったです。それから、なぜ、そうなったのかという原因をしっかり突き詰めて手術に臨めたので良かったなと思います」

 釜田の右肘は曲げ伸ばしがしづらい。その分、投球後のフォロースルーで逃がせられなかった力で肩に負担がかかったという。

「肩に骨棘ができて、関節の袋に擦れるわけですよ。それが炎症して硬くなってきます。結局、肩の可動域も全然、なくなった。投げに行く時も痛いし、止まる時にも痛い。だんだん、痛みがひどくなってきて、これは手術をやるしかないな、と思いました」

 右肘には2013年と14年にもメスを入れているが、右肩のリハビリはその比ではなかったと話す。

「投げた後の、なんていうんですかね、ガクッとくるダメージの大きさ。例えば、軟らかいボールを投げるという動作など、新しいことを始めるたびに肩に対しての反応がすごく出るんですよ。10メートル、20メートルと距離を伸ばしてもそうだし、マウンドから投げるとなればなおさら。バッティングピッチャーをやって、ゲームで投げるという、その全ての段階において新しい反応が出る。その度に『きついな』『時間がかかるな』っていうのは感じました」

 時には不安にかられながらも地道に汗を流した。

投げた翌日が心配も順調 「投げて終わりじゃない、遠足と一緒です(笑)」

 2011年のドラフト2位で金沢高から入団。ルーキーイヤーの12年は20試合に登板し、7勝を挙げた。翌年には右肘の疲労骨折や手術を経験し、その後、1軍で勝利を挙げたのは15年8月29日。実に716日ぶりの勝ち星だった。16年は20試合に先発し、17年も11試合で先発を務めた。昨年はリリーフに挑戦したが、離脱。浮き沈みの激しいプロ野球人生。1軍で投げたい、応援してくれている人たちに頑張っている姿を見せたい、そんな思いと、「このままじゃ、終われない」という意地が釜田の精神を支えたという。

 今季は3月12日の春季教育リーグ北海道日本ハム戦に先発し、2回を2安打1失点。16日の練習試合BCリーグ・武蔵ヒートベアーズ戦は2番手で3回を投げ、4安打3四球5失点と炎上した。それでも、中7日で登板した24日のイースタン・リーグ北海道日本ハム戦では6回を無安打6奪三振無失点と好投し、兆しを見せた。

「内容も良かったし、この日に投げて、次はこの日と言われたところにしっかりと体の状態が回復して投げることができたということが良かったです。なおかつ、5回100球くらいの予定が、6回まで投げられたし、球数も74球というのは本当に良かった」

 また一歩、進んだ。「でも……」と釜田。

「一番、僕が気にしているのは、投げた翌日以降の状態がどうなのか、ということなのですが、それもうまくいっています。投げた後、張りはありましたけど、日が経てば普通に投げられそうな感じではあるので、それが何より、ホッとする。投げて終わりじゃない、遠足と一緒です(笑)」

 楽しい1日の帰り道に羽目を外さないようにと先生が言うセリフ、“家に帰るまでが遠足です“。その日の登板が終わったら、それでおしまいではない。「次の登板までが大事」と釜田。その言葉通り、24日の登板以降も充実した日を送れているという。

「今まではゲームで投げたら『肩はどうかな』『肘はどうかな』と確認をして試合に臨むことが多かった。この前は投げてから4日目(28日)でブルペンに入ったんですけど、それでも80球ほどを投げられたし、投げた後の感じも悪くない。投げることに対して集中して練習ができています」

 登板する日、練習する日、そしてまた登板する日。すべてが1軍のマウンドへつながっている。

(高橋昌江 / Masae Takahashi)

記事提供:Full-Count

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