千葉ロッテマリーンズの石垣島キャンプが活気に満ち溢れている。キャンプ地に訪れる観客も多い。キャンプ2日目の2月2日には例年の休日並みの1500人が訪れた。誰もが井口資仁監督率いる新生千葉ロッテマリーンズに期待を寄せ、夢を膨らます。それに応えようと選手たちがハツラツと練習をしている。
「リーグ1位での優勝から球団として、これだけ遠ざかっているのは悔しい事。まずはしっかりとパ・リーグで優勝をしたい。去年の悔しさをぶつけて、いろいろな事にチャレンジをすればおのずと優勝も見えてくる」
若き新指揮官は事あるごとに声高らかに「優勝」を公言している。昨季は54勝87敗2分けの最下位。周囲は笑うかもしれないが、千葉ロッテマリーンズの誰もが新しいシーズンの巻き返しに自信を持つ。練習法、コミュニケーション方法、指導法、調整方法、走塁革命、データの見直し、時間の有効利用、育成方法などなど。紹介をしたらきりがないほどの様々な革命を組織に注入することで、各方面ですでに大きな化学反応が起き始めている。
ミーティングにも化学反応が起き始める
キャンプ前日に行われる恒例のミーティングも熱かった。井口監督の熱のこもったスピーチが続いた。それを選手たちが真剣なまなざしで聞いた。
「最低140盗塁をしよう。走塁でまず相手にプレッシャーを与えられるチームになろう。フォークなどワンバウンドした球を相手投手が投げれば、一塁走者は必ず二塁を陥れるぐらいの気持ちで行こう。トライした結果、失敗してもオレは責めない。しかし、トライをするのを恐れて躊ちょするのであれば、オレは責めることになると思う。トライをしないのが罪なんだ」。
普段はクールな男が、積極的な走塁がもたらす好循環を熱く語り、奨励した。指揮官のたってのオファーを受け、絶対王者・福岡ソフトバンクホークスから移籍入団をした鳥越裕介ヘッドコーチ兼内野守備・走塁コーチはその姿をうれしそうに眺めていた。
「監督が話をしている時の選手の表情を見ていた。みんなイキイキして、目が輝いていた。このチームいいなあ。そう思ったよ」
常勝軍団の中核にいた男はマリーンズの持つ潜在性を一瞬で感じ取った。やりがいのある指導の日々になることを確信した。だからキャンプ初日からアクセル全開でコーチングを行っている。若い選手の多いチームにとってそれは発見の連続の日々となっている。
借金33、史上最大の下克上に挑む
活気溢れるキャンプ地での切磋琢磨する時間。そして新しい首脳陣によるアプローチに井口監督も手応えを感じている。「一年は長いが、チーム内で刺激し合って、競争をしながら成長をしていきたい。最終的にはパ・リーグ制覇。そして日本一を目指していく」。キャンプ前日の熱のこもったミーティングは最後に力強くそのように締められた。言葉には力がある。言霊である。全選手、全スタッフ、首脳陣が心を一つにし、優勝に向かって突き進むエネルギーがその瞬間、生まれ、濁流となり、激しく流れ始めた。
今年のチームスローガンは「マクレ」。昨年最下位からイッキに頂点までマクっていく決意を表した象徴的メッセージだ。前年最下位からリーグ優勝した例は15年の東京ヤクルトなど過去7球団。ただ、昨年の千葉ロッテは借金33。過去最大借金は50年松竹、76年巨人の29。すなわち2018年のマリーンズは史上最大の「マクり」、史上最大の下克上に挑むことになる。
球春到来。今、日本全国のどこよりもマリーンズのキャンプ地である石垣島と本拠地の千葉が熱く、希望に満ち溢れている。
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