開幕一軍の新人たちは即戦力となるか。開幕スタメン・ローテ期待の5選手を紹介

パ・リーグ インサイト 望月遼太

2019.3.28(木) 19:04

オリックス・バファローズ 頓宮裕真選手(C)パーソル パ・リーグTV
オリックス・バファローズ 頓宮裕真選手(C)パーソル パ・リーグTV

 3月24日、2019年のオープン戦の全日程が終了した。各球団の首脳陣はここでの結果をもとに、開幕ローテーションにどの投手を組み込むか、そして開幕戦でどの選手をスタメン起用するかを考えていくことになる。今季から新たにプロ野球選手の仲間入りを果たしたルーキーたちにとっても、この争いは横一線。もちろん、ここまでの実戦でその能力を証明した選手たちは、たとえ新人であっても然るべきポジションで開幕を迎えることができる。

 そこで、今回は開幕ローテーション、もしくは開幕戦の先発メンバーに名を連ねることが期待されるルーキーたちの球歴を紹介し、今後の展望を述べていきたい。

弓削隼人投手(東北楽天・ドラフト4位)

 佐野日大高校、日本大学、SUBARUを経てプロ入りを果たした弓削投手は、193cmの長身とスリークォーターのフォームから生み出される、独特のリリースポイントを大きな特徴としている。左腕ということもあってプロにおいても希少性の高い存在であり、アマチュアでの豊富な経験を活かして即戦力としての働きが期待されるところだ。

 担当の沖原佳典スカウトが「スリークォーターから勢いのあるボールを投げる、スケールの大きい規格外の選手」「和製ランディ・ジョンソン」と絶賛する素質の持ち主だが、クイックの速さやブレーキの利いたカーブといった細かい武器も兼ね備えている。大学、社会人を経てプロ入りを果たした24歳の左腕は、日本大学時代の同期でもある京田陽太選手(中日)のように、ルーキーイヤーからチームの中心となるような活躍を見せられるだろうか。

小島和哉投手(千葉ロッテ・ドラフト3位)

 浦和学院高校2年次の2013年に春のセンバツで優勝投手になった小島投手は、早稲田大学に進学後も主力投手として活躍。最終年度にはキャプテンの重責も担い、名門野球部をまとめ上げた。担当の井辺康二スカウトもその華やかな球歴に触れ、「将来的にチームの主軸となる投手で、長い期間にわたっての活躍が期待される」と太鼓判を押していた。

 もちろんその経歴だけではなく、同スカウトが「2種類のスライダーとチェンジアップを駆使し、ストライクゾーンを広く使いこなせるテクニシャン」と語る実力も折り紙付き。慢性的な左投手不足に苦しむチームを救いうる即戦力左腕は、“早稲田のキャプテン”の先達でもある中村奨吾選手に続いて自らの立ち位置を確立し、自らの輝かしい球歴に新たな1ページを書き加えられるか。

辰己涼介外野手(東北楽天・ドラフト1位)

 辰己選手は社高校から進学した立命館大学で大活躍を見せ、走攻守の三拍子が揃った外野手としてドラフト上位の有力候補に。プロのスカウトからの評価も高く、実際のドラフトでは外れ1位で4球団が競合入札する事態に。抽選の末に東北楽天への入団が決まったが、その後の歩みもここまでは順調そのものだ。

 オープン戦の14試合で打率.303、出塁率.378、OPS.833と上位打線としての適性を感じさせる数字を残し、ルーキーながら見事に開幕一軍の座を勝ち取っている。オープン戦での得点圏打率は.571と勝負強さは抜群で、俊足・強肩にも定評あり。抜群のポテンシャルを持つ俊英が、同じく高い身体能力を武器とする田中和基選手と外野でタッグを組み、その先輩と同様に新人王の栄冠を手にする可能性は十分だ。

藤原恭大外野手(千葉ロッテ・ドラフト1位)

 藤原選手は2018年に春夏連覇を達成した大阪桐蔭高校の4番を務め、超高校級の外野手として鳴り物入りでプロの門を叩いた。春季キャンプ期間中には実戦でなかなかヒットが出ないなど苦戦する時期もあったが、オープン戦ではたびたび好守備を見せるなど攻守に奮闘。そのアピールが認められ、高卒ルーキーながら見事に開幕一軍メンバーへと名を連ねた。

 そのスケールの大きさについては今さら語るまでもないかもしれない。強肩・強打・俊足と大型外野手に必要なすべてを兼ね備えており、将来のスターへという期待も大きい。藤原選手はその大きな期待に応える活躍を見せ、10代の若さで球界を代表する選手への第一歩を踏み出していけるだろうか。

頓宮裕真内野手(オリックス・ドラフト2位)

 頓宮選手は岡山理科大学附属高校、亜細亜大学で強打の捕手として活躍したが、ドラフトでは内野手としてオリックスから指名を受ける。プロではそれまでほとんど経験がなかったという三塁のポジションを任されることになったが、新たなポジションでもその能力の高さを見せつけ、早くもその打撃力を発揮し始めている。

 オープン戦17試合で打率.259、2本塁打、8打点と一定の成績を収め、開幕一軍の座を確保してみせた。三塁手は昨季チームがなかなか固定しきれなかった泣き所のひとつでもあるだけに、22歳の頓宮選手が定着すれば、将来のチームの展望を描くうえでも大きなプラスとなりうる。大学日本代表で4番を務めた逸材が、新たな守備位置、新たなステージでも豪快な打棒を見せつけてくれることに期待したいところだ。


 以上のように、高校卒の選手が1人、大学卒の選手が3人、社会人卒の選手が1人と、5人の新人選手が開幕からチーム内で重要なポジションを任される可能性がある。とはいえ、シーズンが終わったときに評価されるのは、オープン戦の成績や開幕時の立ち位置ではなく、シーズン全体での成績や貢献度である。はたして、期待のルーキーたちはこのまま活躍を続け、自らのポジションを確立することができるだろうか。

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パ・リーグ インサイト 望月遼太

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