地元球団で駆け抜けた7年間。仙台を愛し、愛された「元・楽天」阿部俊人選手

パ・リーグ インサイト 望月遼太

2018.1.17(水) 00:00

7年間のプロ生活で、通算260試合58安打13打点0本塁打、打率.210。それでも、「元」楽天の阿部俊人内野手は、チームメイトとファンに深く愛される存在だった。昨オフ、戦力外通告を受けて現役を引退。球団には残るものの、これからは選手とはまた異なる立場で、新たなスタートを切ることが決まっている。

花咲徳栄高校から東北福祉大学を経て、2010年ドラフトで楽天から3位指名を受けた阿部選手。仙台出身の大型内野手として期待を集め、入団会見では「夢を与えられるような選手になりたいです」と抱負を掲げた。

2015年は開幕一軍入りを果たし、内野のスーパーサブとして66試合に出場。打率こそ1割台に終わったものの、7月5日の北海道日本ハム戦では、自身の一打で劇的なサヨナラ勝利を呼び込む。プロ初となるお立ち台では、「前の試合でも満塁で三振でしたので、ヒーローと言っていいのでしょうか?」と話すなど、物怖じしない性格を垣間見せている。

昨年は開幕から出番がない状況が続いたが、8月4日の千葉ロッテ戦では自身2度目のサヨナラ打を放ち、誕生日の梨田監督から「最高のプレゼントになりました」と、感謝の言葉を贈られる。さらに得意のお立ち台では、「僕のタオル(を掲げている方が)少ないので、これから半額にします。100枚ですね。買って下さい!」と突如として宣言すると、実際に半額で販売されたタオル100枚は即完売。持ち前の明るい性格が、ファンから厚く支持されていたことがうかがえる一幕だった。

ただ、そのシーズンオフに待っていたのは戦力外通告。29歳。選手としてはまだまだこれからという年齢だったが、現役から退く決断に至る。球団は、雨天中止のパフォーマンスで軽快にダイヤモンドを駆け回り、ムードメーカーとしてベンチを沸かせていた元気者に、「楽天イーグルスアカデミーのジュニアコーチ」という役職を用意。阿部選手自身は「東北の子どもたちに明るさ、元気を伝えていきます」と、前向きなコメントを残している。

母校・花咲徳栄高校が夏の甲子園で悲願の初優勝を果たした年に、阿部選手は7年の現役生活に別れを告げ、静かにユニホームを脱いだ。入団当時の目標だった「夢を与える」存在として、これからは地元・仙台の子どもたちを相手に、その本領を発揮してくれるはずだ。

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パ・リーグ インサイト 望月遼太

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