「普通の選手が感じられないレベルでの悩みだったんだと思います。そこに立ったことがある人にしか分からない悩み」
福岡ソフトバンクの王貞治球団会長が22日、21日のアスレチックス戦後に現役引退を表明したマリナーズのイチロー外野手について語った。この日、福岡・筑後市のファーム施設「HAWKS ベースボールパーク筑後」を訪れた王会長は「来るべきときが来ちゃったのかなと思いました。誰もがスタートがあれば、終わりもある。彼にはもっとその日が来るのは先だと思っていたけど残念だね」と語った。
監督と選手として、2006年の第1回ワールドベースボールクラシック(WBC)で世界一に輝いた王会長とイチロー。試合後に行われた会見を深夜にも関わらず見ていたという王会長は「あれだけ凄い成績を出した選手だから悩みなんてないのかと思ったら、大変な悩みがあった。普通の選手が感じられないレベルでの悩みだったんだと思います。そこに立ったことがある人にしか分からない悩み」と、その心情を慮った。
王会長は世界一に輝いた第1回WBCについても振り返り「第1回ということで足並みも揃わず、なかなか選手も集まらなかったところで、彼がアメリカから連絡をくれて『出ます』と言ってくれて心強く感じた。彼がアメリカの野球を話してくれたことで選手たちがリラックスできた」と、その存在感の大きさを口にしていた。
20日のアスレチックス戦第1戦は東京ドームを訪れ、イチローとも言葉を交わしたという王会長。「『この2試合を全力でプレーする』と言っていたけど、辞めるとは言ってなかった」とその時の様子を回顧。日本での“凱旋試合”で無安打に終わり「小さなことだけど、最後にヒット1本打って欲しかったね。彼も打ちたかったんじゃないかなと思います」と語っていた。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)
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