「『我慢』の先に、優勝の喜びがきっとある」~オリックス・佐藤達也投手インタビュー~

パ・リーグ インサイト 岡田真理

2016.2.17(水) 00:00

オリックス・バファローズ 佐藤達也投手 ※球団提供
オリックス・バファローズ 佐藤達也投手 ※球団提供

気迫の伝わる強気のピッチングを見せる佐藤達投手だが、「ホントはいつも内心ハラハラします」と苦笑い。リリーフに大事なことを問うと、「我慢」と一言。「プレッシャーは全然乗り越えられてないです(笑)。打たれちゃいけないというプレッシャーを受けながらも、なんとかその中でやっていくしかない。それがリリーフにとって大事な『我慢』です」

佐藤達投手にとって転機となった試合があった。2013年4月5日、京セラドームで行われた埼玉西武戦。3点差でオリックスが勝っていた8回に佐藤達投手がリリーフとして登板した。

「まともにストライクが入らなくて、2個もフォアボールを出してしまった。ノーアウト1・2塁になったところで西本コーチがマウンドに来たので、当然交代すると思ったんです。監督もベンチの前に立っていましたし。でも、結局交代を告げずにベンチに帰っていきました。その後、三振、レフトフライ、三振でなんとか抑えることができたんです」

監督もコーチも、自分を信じて使ってくれた。その信頼に対して自分はちゃんと応えなくてはいけない。その思いによって、一つの壁を突破。それ以降、リリーフとしての「我慢」を前向きに捉えられるようになった。

このシーズンオフは、家族と過ごす時間も大事にしながら神戸で自主トレに励んだ。昨シーズンは4月に腰痛で登録を抹消。5月に再登録されたが、6月には椎間板腰痛で再び抹消された。その故障を踏まえて、今回の自主トレでは例年よりも体のケアやコンディショニングに重点を置いた。

「ウエイトで鍛えられる大きな筋肉ではなく、肩、肘を含めインナーマッスルを重点的にトレーニングしました。2回登録抹消されたのは昨シーズンの大きな反省点だったので、今年はそういうことのないように」

このキャンプでは、例年になく体の調子がいいと感じている。「投げても次の日に張りが来ないです。順調すぎて怖いくらいです(笑)。自主トレの成果がしっかり出ているっていうことかなと」


もし何か一つ手に入るなら、チームメイトであるエース・金子千尋投手の持つ変化球が欲しいと言う。「ピッチャーが目指す理想形ですよね。ああいうのがあったら、大きな武器になると思います」

自分には金子千尋投手のような武器はないと謙遜するが、「いい意味で気にしない。投げても投げなくても、打たれても抑えても次の日に試合が待っているので。それは野手も一緒だと思うけど、なるべく引きずらない。よくても悪くても切り替えて次の試合に臨む」と腹をくくったその姿勢は、リリーフとして大きな武器になっているはずだ。

目標は、チームの優勝以外ない。「オリックスはもう20年くらい優勝していない。以前福岡ソフトバンクに目の前で優勝を見せつけられましたけど、あの悔しさはまだ忘れられません。なんとか晴らしたいと思っています。そのためにも、毎試合投げられるようケガをしないという目標は、最低限クリアしないといけません」

毎年、自分の身がどうなるかわからない中で野球人生を歩んでいる。だから、あまり先のことは考えないようにして、その日のことだけに集中している。それでも、「あえて理想を言わせてもらえるなら、オリックスで三連覇、四連覇するメンバーに自分も入っていたい」と、優勝への思いが果てることはない。

文・岡田真理

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