恵まれた体格に詰まった大きな「可能性」。埼玉西武・中塚駿太投手が飛躍を狙う

パ・リーグ インサイト 吉田貴

2018.1.14(日) 00:00

剛速球が魅力の投手には「パワーピッチャー」の称号が贈られることがある。一般的には、恵まれた体格で速球を武器とし、打者に向かっていく強気の意識が見える投手を指すのではないだろうか。身長191センチ、体重100キロ超の埼玉西武・中塚駿太投手は、まさにそのイメージを形にしたような選手だ。

白鴎大学時代、中塚投手が4年春までに関甲新リーグで挙げた勝利はわずか1。プロ入りが確実視される存在ではなかったが、4年秋のリーグ戦で覚醒。最速157キロの剛速球を武器に5勝を挙げると、その潜在能力に注目した埼玉西武が2016年ドラフト2位で指名した。しかし、1月の新人合同自主トレでは、初日からいきなり苦戦。ポール間走をリタイアし、大の字に倒れ込んだ姿が大きく報道されてしまう。

そんな中でも中塚投手本人に必要以上の焦りは見られず、埼玉西武首脳陣もそれくらいは「想定内」と大きく構える体勢。それだけでも、中塚投手のポテンシャルにどれだけの可能性が秘められているか、期待せずにはいられない。シーズン開幕後は、ファームで精一杯腕を振り続けた。成績は20試合2勝5敗、防御率3.84。好不調の波が激しかったため、満足のいく成績ではなかったものの、持ち味の直球は常時150キロ台を計測した。

9月24日のオリックス戦では、念願の一軍マウンドも経験。しかし、9回に5番手として登板すると、2球で2死を奪うものの12球連続ボールで3者連続四球。満塁で降板となり、ほろ苦いデビュー戦となってしまった。ただ、シーズン閉幕後の11月からは、登板経験を増やすために豪州ウインターリーグに参加。来季に向けて十分な収穫を得て帰国した。

マウンドを経験するごとに「大器」としてのベールを脱いでいく中塚投手。阪神の大山悠輔選手とは、高校・大学の同期だ。大学の恩師からも、埼玉西武の二軍コーチからも、「マイペース」と評され、その大きな身体と憎めないキャラクターで可愛がられる大型右腕。次はどのような成長を見せてくれるのか、その覚醒の時を心待ちにしている。

記事提供:

パ・リーグ インサイト 吉田貴

この記事をシェア

  • X
  • Facebook
  • LINE