昨年、山岡泰輔投手や近藤大亮投手、山本由伸投手や黒木優太投手など、若手投手の台頭が目立ったオリックス。ウエスタン・リーグでチーム防御率1位を記録し、かつての投手王国復活が期待されている。その例にもれず今年の飛躍が予想される若手であり、なおかつ周囲の喧騒に惑わされることなく2年目を見据えている、澤田圭佑投手を紹介したい。
澤田投手のことが語られるとき、必ずついて回るのが盟友・藤浪晋太郎投手(阪神)の存在だ。大阪桐蔭高校が甲子園春夏連覇を果たした2012年、同校のエース・藤浪投手を、背番号10として支え続けたのが澤田投手だった。澤田投手がいなければあの快挙は成し得なかっただろうというのは、高校野球ファンにとってはお馴染みの話題だ。2人は「さわちゃん」、「ナミ」と呼び合い、互いに敬意を表するよき友人同士でもあった。
澤田投手は高校卒業後立教大学に進学し、主将も務めながら輝かしい成績を残すと、2016年ドラフトでオリックスから8位指名を受ける。そして昨年のルーキーイヤーから、見事開幕一軍の座を手にし、楽天との開幕戦に中継ぎとして初登板。しかしペゲーロ選手に決勝弾を浴び、敗戦投手に。5月5日の北海道日本ハム戦後に登録を抹消され、9月には一軍に戻ってきたものの、10月6日の福岡ソフトバンク戦で2敗目。最終的な成績は13試合0勝2敗、防御率4.15というものだった。
そんなルーキーイヤーで感じたプロの厳しさ、あきらかになった課題は、もちろんいくつもあっただろうが、まだ2年目。まだ23歳。精密なコントロールと打者のタイミングを外す独特のフォームで、老獪なピッチングを持ち味とする澤田投手。178センチ96キロの愛らしい体格に、どれほどの可能性を秘めているのか。今から期待しないではいられない。
また澤田投手は高校時代から、藤浪投手の話題を振られることが多く、現在「不振に陥った」としきりに囁かれるかつての盟友について、水を向けられることも少なくない。しかし澤田投手の態度や言動は高校時代から一貫しており、藤浪投手に対する深い信頼とともに、周囲の声に振り回されない強い自我をのぞかせている。
2013年、プロ1年目の藤浪投手に贈った寄せ書きには「もう一回同じチームでやれるようにがんばるわ。待っといて」と書いていた。結果的にチームもリーグも分かれてしまったが、4年の時を経て、まずは確かにプロの舞台に昇ってきた澤田投手。「同じチームで」というあの日の宣言が、例えば日本代表で叶ったとしたら。高校野球ファンには垂涎ものだろう。
まだ若い彼らの野球人生は始まったばかり。その前途は可能性に満ち溢れている。澤田投手のインタビューに答える姿勢は堂々としたもので、アマチュア時代も現在のチームでも、人を惹きつける魅力を備えた、愛されキャラである。まずはプライベートでもよく一緒に釣りに行くという同期の黒木投手らと切磋琢磨し、鉄壁のブルペンを築く礎となれるか。2年目の背番号「49」に注目してほしい。
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