昨年はパはホークス柳田&セは横浜DeNAソトが1位、埼玉西武山川もハイレベル
IsoP(Isolated Power)は、打者の長打力を表すセイバーメトリクス系の指標だ。「長打率-打率」という簡単な数式で導き出せる。
打者の長打を表す指標には、長打率(塁打÷打数)があるが、長打率には「打率」の数字が含まれており、打率が高い選手の長打率が高くなる傾向にある。IsoPは、長打率から打率の要素を取り除くことで、純粋に「長打」の多い打者を抽出するものだ。
○2018年セ・パ両リーグのIsoP5傑(300打席以上)、所属は昨年
【パ・リーグ】
1 柳田悠岐(ソ).3094/打率.352長打率.661
2 山川穂高(西).3086/打率.281長打率.590
3 中村剛也(西).281/打率.265長打率.546
4 デスパイネ(ソ).256/打率.238長打率.494
5 松田宣浩(ソ).237/打率.248長打率.485
【セ・リーグ】
1 ソト(De).334/打率.310長打率.644
2 丸佳浩(広).321/打率.306長打率.627
3 バティスタ(広).304/打率.242長打率.546
4 筒香嘉智(De).301/打率.295長打率.596
5 鈴木誠也(広).298/打率.320長打率.618
パでは、首位打者の福岡ソフトバンク柳田が長打率では埼玉西武の山川に大差をつけていたが、IsoPはほぼ同じ数値になる。続いて、埼玉西武の中村、福岡ソフトバンクのデスパイネ、松田と続く。
セは、本塁打王のソトが1位、続いて広島の丸、バティスタの順。福岡ソフトバンク、埼玉西武、広島と昨年のポストシーズン進出チームの選手が、上位に来ているのが目立つ。
現役では埼玉西武中村が突出、歴代トップ10には「長距離打者」が並ぶ
◯NPBの通算IsoP10傑(4000打数以上) 所属があるのは現役()は実働期間
1 王貞治 .333/打率.301長打率.634(1959-1980)
2 A・カブレラ .289/打率.303長打率.592(2001-2012)
3 松井秀喜 .278/打率.304長打率.582(1993-2002)
4 中村剛也(西).277/打率.253長打率.530(2003-2018)
5 田淵幸一 .275/打率.260長打率.535(1969-1984)
6 T・ローズ .273/打率.286長打率.559(1996-2009)
7 大豊泰昭 .255/打率.266長打率.521(1989-2002)
8 落合博満 .253/打率.311長打率.564(1979-1998)
9 山本浩二 .252/打率.290長打率.542(1969-1986)
10 清原和博 .248/打率.272長打率.520(1986-2008)
例によって王貞治が1位に君臨する。2位にカブレラ、3位に松井秀喜、そして4位には現役の埼玉西武中村が入ってくる。以下、田淵、ローズ、大豊とアベレージヒッターではない「長距離打者」が並んでいる。
○4000打数以上の現役打者のIsoP10傑
1 中村剛也(西).277/打率.253長打率.530(2003-2018)
2 阿部慎之助(巨).213/打率.283長打率.496(2001-2018)
3 福留孝介(神).208/打率.293長打率.501(1999-2018)
4 松田宣浩(ソ).204/打率.271長打率.475(2006-2018)
5 中田翔(日).187/打率.254長打率.441(2009-2018)
6 浅村栄斗(楽).170/打率.287長打率.457(2010-2018)
7 糸井嘉男(神).159/打率.301長打率.460(2007-2018)
8 中島宏之(巨).157/打率.296長打率.453(2002-2018)
9 坂本勇人(巨).155/打率.291長打率.446(2007-2018)
10 秋山翔吾(西).151/打率.300長打率.451(2011-2018)
現役では、中村剛也が突出していることがわかる。中村は、王貞治(15回)、野村克也(9回)に次ぐ、史上3位の6回の本塁打王を獲得している。中村は通算安打1325安打。名球会には程遠い実績だが、NPB史上に残る長距離打者なのだ。
(広尾晃 / Koh Hiroo)
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