王貞治が歴代唯一の1.000超え メジャーで重視される信頼性の高い指標「OPS」

Full-Count 広尾晃

2019.3.9(土) 09:39

NPB歴代OPSで1位となっている王貞治氏 ※写真提供:Full-Count(写真:Getty Images)
NPB歴代OPSで1位となっている王貞治氏 ※写真提供:Full-Count(写真:Getty Images)

メジャーで打者の評価基準として縦位されるOPS、日本の打者で算出すると…

 OPS(On-base plus slugging)は、1980年代にセイバーメトリクスの創始者、ビル・ジェームスが考案した指標だ。出塁率(On-base percentage)と長打率(Slugging percentage)を足した単純な数字ながら、打者の評価基準として、今も重視されている。

 OPSは、公式記録をもとに簡単に算出できるが、打者の得点能力を評価するうえで極めて有効だ。複雑な計算式を用いて野手の攻撃面の貢献度を算出するoWAR(Offensive Wins Above Replacement)の2018年MLB5傑と、OPS5傑を並べると以下のようになる。oWARはBaseball Reference版。

○ア・リーグ
1 トラウト(エンゼルス)oWAR9.2
2 ベッツ(レッドソックス)oWAR8.7
3 ブレグマン(アストロズ)oWAR7.5
4 J・ラミレス(インディアンス)oWAR7.4
5 JD・マルティネス(レッドソックス)oWAR6.8

1 トラウト(エンゼルス)OPS1.088
2 ベッツ(レッドソックス)OPS1.078
3 JD・マルティネス(レッドソックス)OPS1.031
4 J・ラミレス(インディアンス)OPS.939
5 ブレグマン(アストロズ)OPS.926

○ナ・リーグ
1 イエリッチ(ブルワーズ)oWAR7.3
2 ストーリー(ロッキーズ)oWAR5.6
3 バエズ(カブス)oWAR5.3
4 アレナド(ロッキーズ)oWAR5.2
5 ニモ(メッツ)oWAR5.1

1 イエリッチ(ブルワーズ)OPS1.000
2 アレナド(ロッキーズ)OPS.935
3 マンシー(ドジャース)OPS.973
4 ゴールドシュミット(ダイヤモンドバックス)OPS.922
5 ストーリー(ロッキーズ)OPS.914

 膨大な計算が必要な最先端のセイバー系指標oWARと、たった1回の足し算で導き出せるOPSでのランキングが、ほとんど一致するのだ。信頼性が高いので、MLBの公式サイトや試合中継では、OPSが表示されることが多い。

 上記のランキングでもわかるように、OPSは1.000を超えればMVP級。900以上ならトップクラス、.800以上で中軸打者という目安がある。

現役では阪神福留が1位、4000打数未満ではホークス柳田らがハイレベル

○NPB歴代OPS10傑 4000打数以上 ( )は実働期間

1 王貞治 OPS1.080(1959-1980)
2 松井秀喜 OPS.996(1993-2002)
3 A・カブレラ OPS.990(2001-2012)
4 落合博満 OPS.987(1979-1998)
5 T・ローズ OPS.940(1996-2009)
6 張本勲 OPS.9334(1959-1981)
7 中西太 OPS.9325(1952-1969)
8 小笠原道大 OPS.929(1997-2015)
9 ブーマー OPS.927(1983-1992)
10 松中信彦 OPS.925(1997-2015)

 1位は史上最多の868本塁打を言った王貞治。唯一通算のOPSが1.000を超えている。2位に松井秀喜が入ってくる。さらにカブレラ、ローズ、ブーマーと外国人選手の名前も。OPSの中には、打率が2回加算されている。しかし打率は.320~.280程度と振れ幅が小さいので、差が付きにくい。本塁打者とアベレージヒッターでは大きな差となる長打率の差が、OPSの数値に大きく反映される傾向にある。

○現役選手OPS10傑 /は通算の順位 4000打数以上

1/22 福留孝介(神) OPS.886(1999-2018)
2/29 中村剛也(西) OPS.872(2002-2018)
3/34 阿部慎之助(巨) OPS.862(2001-2018)
4/35 青木宣親(ヤ) OPS.860(2004-2018)
5/39 糸井嘉男(神) OPS.854(2004-2018)
6/58 秋山翔吾(西) OPS.824(2011-2018)
7/65 中島宏之(巨) OPS.819(2001-2018)
8/75 浅村栄斗(西) OPS.812(2009-2018)
9/89 坂本勇人(巨) OPS.8009(2007-2018)
10/90 内川聖一(ソ) OPS.8008(2001-2018)

 現役でOPSが.900を超える選手はいない。2011年に反発係数が低い統一球が導入されてから、長打が減ったことが影響している。

4000打数未満の主要な現役選手のOPS

山田哲人(ヤ) OPS.930 3078打数
筒香嘉智(De)OPS.912 2962打数
柳田悠岐(ソ)OPS.970 2875打数
鈴木誠也(広)OPS.958 1612打数
吉田正尚(オ)OPS.925 973打数
山川穂高(西)OPS.987 953打数
岡本和真(巨)OPS.889 609打数

 もちろん、これから成績の波があるだろうが、彼らがさらに活躍することで、OPS.900超えのスラッガーが再び台頭してくるだろう。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

記事提供:Full-Count

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