投手としても、打者としても、大きな隙のなくなってきた感のある北海道日本ハム・大谷翔平選手。当初は懐疑的な見方が大半だった「二刀流」を驚くべき早さで極めつつある。「進化」という言葉が陳腐に聞こえてしまうほど、大きなストライドで人々の想像を超えてしまった。
もちろん他のチームとしては「難攻不落」化しつつある大谷選手を攻略する手立てを施さなければならないが、選手個々ですでに「大谷攻略」ができている選手も存在する。今回はまず、「投手・大谷翔平」を得意としているパの選手をピックアップしてみた。基準は大谷選手が入団した2013年から年8回程度(2試合)の対戦を繰り返し、今年現時点で計28打席以上の対戦をしたことのある選手に限っている。
福岡ソフトバンク・長谷川勇也選手 30打席 26打数 10安打 .385
福岡ソフトバンク・松田宣浩選手 35打席 35打数 13安打 .371
楽天・銀次選手 34打席 33打数 12安打 .364
千葉ロッテ・鈴木大地選手 32打席 23打数 8安打 .348
福岡ソフトバンク・中村晃選手 46打席 41打数 14安打 .341
主なところでは、この5選手が「大谷キラー」ということになった。大谷選手があまり得意としない(通算防御率4.09)、福岡ソフトバンクの選手が3人並ぶ形だ。
最も大谷選手に対する対戦打率が高かったのは、長谷川選手。しかし2013年・2014年にいずれも5安打を放ったのが大きく、2015年と今年2016年はいずれもノーヒット。一方、松田選手は毎年対戦打率が3割3分3厘を超えており、今年も6打数3安打。また中村晃選手は毎年3安打以上、打率も2014年からは3割以上で、今年も5打数3安打。大谷選手にとってみれば明らかな苦手意識を持っていてもおかしくなく、彼らにとってはいずれも「難攻不落」とまではいかないことを示す数字だ。
ちなみに多くの方はお気付きかと思うが、松田選手を除いて左打ち、さらに長距離打者というよりは外野の間を抜いていく当たりが印象的な打者がそろうという共通項がある。この5人の次点(6位)である埼玉西武・栗山選手も45打席・35打数11安打(打率.314)という相性の良さであるが、やはり左打ちで、打者としても同じように外野の間を抜く打球が印象的なタイプだ。
なお打率そのものは高くないが、目を引く数字を残している選手が1人いる。埼玉西武・中村剛也選手だ。対戦の数字そのものは、40打席で37打数7安打、打率は.189ではあるが、7安打のうち4本がホームランという驚異的な「本塁打率」を誇る。
まだまだ今年に関してはシーズン半ばであり、ここから急にコツをつかんで「大谷キラー」化する選手も出てくるかもしれない。あるいは得意にしていた選手たちも、大谷選手が打者攻略のポイントをつかんで、ますます「無双」化することも考えうる。破竹の15連勝で首位・福岡ソフトバンクと2位・北海道日本ハムのゲーム差も縮まり、シーズン後半の天王山でこの「相性」が勝負を分けることもあるかもしれないだけに、「大谷包囲網」にも注目していきたいところだ。
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