高谷を相手に山なりの投球も「全力です」
福岡ソフトバンクは2日、ヤフオクドームで攝津正元投手の引退セレモニーを開き、昨シーズン限りで引退を表明した鷹のエースがセレモニアルピッチを行った。
勝利の方程式としても、先発の柱としても活躍した右腕の引退セレモニーは、10年間を振り返る映像から始まった。その後、マウンドの手前で挨拶。球団関係者や家族、そしてファンに改めて感謝の気持ちを伝えると、高谷裕亮捕手を相手に“最後の1球”を投げ込んだ。
セレモニーの後、プレスルームで取材に応じ、「こういうセレモニーを開いていただいて本当に感謝しています。すごく緊張しました」と照れ笑いを見せながら、「いつもよりたくさん声援をいただいて、いい思い出になりました」と振り返った。
セレモニアルピッチは少し山なりになったが「全力です。今日やっと引退を決意できました」とジョークを飛ばし、取り囲む記者を笑わせた。本当は、使ったグラブをスタンドのファンに向けて投げ入れるつもりだったというが、「緊張してすっかり忘れてました。子どもが受け取ってくれて思い出にしてくれたらいいなと思っていたんですが」と苦笑い。引退した今でも、ファンに対して感謝の気持ちを還元したいという思いは強く持っているという。また、今後については「外から野球を見てしっかり勉強したい。(プロの指導者は)限られた人しかなれないので、そういう人材になれるように頑張ります」と話し、指導者への道を進むことを明らかにした。
囲み取材が行われている最中も、最後のユニホーム姿の攝津氏と記念撮影がしたいと、福岡ソフトバンクの投手陣が次々とプレスルームに足を運んだ。その中には、サファテ投手や森唯斗投手、この日のために駆けつけた和田毅投手の姿もあった。さらに阪神に移籍した飯田優也投手も、藤浪晋太郎投手を連れ立って挨拶に出向いた。
「ホークスに入って(斉藤)和巳さんとか、杉内(俊哉)さん、和田さんの数字を追いかけてきた。今のピッチャーにもそうやって塗り替えていってほしい」
攝津氏は、福岡ソフトバンクの現役投手たちが自らの数々の記録を塗り替えてくれることを切に願っている。
(藤浦一都 / Kazuto Fujiura)
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