1974年から公式記録として導入
セーブは救援投手につく記録だ。味方がリードした状況でマウンドに上がり、そのリードを保ったまま最後まで投げた(完了)場合につく。投球回数や点差などでセーブがつかない場合もある。
NPBでは、セーブは1974年に公式記録として導入された。そのため、1974年以降の投手のみ記録の対象となる。
○NPB通算セーブ数10傑 ()は実働期間 所属があるのは現役
1岩瀬仁紀 407セーブ(1999-2018)
2高津臣吾 286セーブ(1991-2007)
3佐々木主浩 252セーブ(1990-2005)
4サファテ(ソ) 234セーブ(2011-2018)
5小林雅英 228セーブ(1999-2011)
6藤川球児(神) 225セーブ(1999-2018)
7江夏豊 193セーブ(1967-1984)
8馬原孝浩 182セーブ(2004-2015)
9クルーン 177セーブ(2005-2010)
10武田久 167セーブ(2003-2017)
昨年限りで引退した岩瀬がただ1人、400セーブをマーク。2位の高津でも300セーブに達していない。まさにアンタッチャブルな記録と言えるだろう。
名球会では、日米通算も含め250セーブを入会基準としているが、今のところ、この資格を満たしているのは3人。藤川は日米通算では227セーブだ。
この表に、昭和でキャリアを終えた投手は江夏豊しかいない。
○昭和期に記録された通算セーブ数5傑
1江夏豊 193セーブ(1967-1984)
2斉藤明雄 133セーブ(1977-1988)
3山本和行 130セーブ(1972-1988)
4牛島和彦 126セーブ(1980-1988)
5鈴木孝政 96セーブ(1973-1988)
セーブが導入されてから昭和時代は15シーズンあったが、この間に200セーブに達した選手はいない。100セーブ以上も4人だけだった。
セーブが導入された当初は、救援投手は現在のようにセットアッパーとクローザーの分業が進んでおらず、2イニング以上投げてセーブを記録する投手も多かった。また先発と救援を掛け持ちする投手も多く、登板数が伸びず、セーブ数もそれほど多くはなかった。
今では救援投手の中でも細かく役割分担ができ、クローザーがイニングをまたいで登板することは少なくなった。そしてシーズンの登板数も増え、セーブ数も増加している。
サファテ、藤川は大台250セーブ到達なるか?
○現役投手セーブ数10傑
1サファテ(ソ)234セーブ(2011-2018)
2藤川球児(神)225セーブ(2000-2018)
3永川勝浩(広)165セーブ(2003-2018)
4増井浩俊(オ)145セーブ(2010-2018)
5山崎康晃(De)133セーブ(2015-2018)
6山口俊(巨)112セーブ(2006-2018)
7中崎翔太(広)106セーブ(2012-2018)
8松井裕樹(楽)101セーブ(2014-2018)
9西野勇士(ロ)86セーブ(2013-2018)
10ドリス(神)77セーブ(2016-2018)
岩瀬が引退したので、現役1位は福岡ソフトバンクのサファテになった。昨年4月に故障してシーズンを棒に振ったサファテは4月に38歳を迎える。名球会入りの可能性は大いにあるが、岩瀬の400セーブに追いつくのは、かなり厳しそうだ。
NPBでは100セーブから50刻みで表彰をしている。上記の現役投手10傑と重複するが、今季の達成予想をしておこう。
○通算250セーブ(過去3人)
サファテ(ソ)234セーブ(2011-2018)あと16セーブ
藤川球児(神)225セーブ(2000-2018)あと25セーブ
サファテは前述の通り、通常の役割を果たせば、それほど難しい数字ではない。しかし、福岡ソフトバンクには昨年、見事に代役を果たした森唯斗もいる。クローザーで起用されるかどうかの問題もあるだろう。
サファテより1学年上、松坂世代の藤川は、昨年は中継ぎ投手として素晴らしい活躍だったが、阪神のクローザーはドリス。記録達成は難しいかもしれない。
○通算200セーブ(過去6人)
永川勝浩(広)165セーブ(2003-2018)あと35セーブ
広島には中崎というクローザーがいる。昨年2年ぶりに1軍登板を果たした永川だが、この数字は厳しそうだ。
増井、山崎は150セーブを射程内
○通算150セーブ(過去13人)
増井浩俊(オ)145セーブ(2010-2018)あと5セーブ
山崎康晃(De)133セーブ(2015-2018)あと17セーブ
山口俊(巨)112セーブ(2006-2018)あと38セーブ
中崎翔太(広)106セーブ(2012-2018)あと44セーブ
松井裕樹(楽)101セーブ(2014-2018)あと49セーブ
働き盛りの投手が並んでいる。オリックスの増井、横浜DeNAの山崎は、この数字をクリアしなければチームが困るというところだろう。
東北楽天の松井は、昨年史上最年少で100セーブを記録。49セーブは普通では不可能だが、2017年にサファテとセーブ数争いをした勢いが戻れば、いいところまでいくだろう。
○通算100セーブ(過去31人)
西野勇士(ロ)86セーブ(2013-2018)あと14セーブ
ドリス(神)77セーブ(2016-2018)あと23セーブ
田島慎二(中)75セーブ(2012-2018)あと25セーブ
澤村拓一(巨)73セーブ(2011-2018)あと27セーブ
増田達至(西)73セーブ(2013-2018)あと27セーブ
五十嵐亮太(ヤ)70セーブ(1998-2018)あと30セーブ
岸田護(オ)63セーブ(2006-2018)あと37セーブ
益田直也(ロ)61セーブ(2012-2018)あと39セーブ
100セーブをクリアする投手は、今季も複数生まれるだろう。
シーズンを通して戦線離脱することなくクローザーを務めることができれば、セーブ数は自ずと増えていく。そういう意味では、スタミナとの戦いでもある。今季も多くのクローザーが抜群の体力を発揮しながら数字を重ねていくはずだ。
(広尾晃 / Koh Hiroo)
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