15年10勝の東明は16年11月、17年8月と右肘を2度手術、昨季終盤に復活星「肘のケガがあったから」
オリックス・東明大貴投手が21日、宮崎での春季キャンプ第4クール最終日でブルペン入り。カーブ、スライダー、フォークと全ての変化球を交えて89球を投げた。昨年9月に2年ぶり、896日ぶりの勝利を挙げたプロ6年目右腕は「波はありますが、ちょっとずつ良くなっています。状態はいい」と振り返った。
“攻めの投球”で復活を目指す。昨季は7試合登板で39回2/3と投球回は少ないものの、与四球率(投手が9イニング投げたと仮定した場合の平均与四球数)が0.68。24試合登板した2016年は3.98(122回投げて54四球)だったが、大きく改善された。東明は「肘のケガもあるかも」と明かし、こう続けた。
「去年、自分のいい球が打者にとっていい球かって考える時があって、それだったらストライクゾーンに投げちゃおうと思って。正直、ファームでも打たれていて、チャンスも少ないと思っていた中で1回、1軍に上がった時に『四球で自滅するのだけはやめよう』と思ったんです」
ストライクゾーンで勝負する――。甘くなれば痛打となる可能性が高まるだけに、より制球力が必要とされる中、昨季後半戦から走者がいない場合でも、セットポジションで投げるようにした。「単純に安定しているからです。ブレを少なくしたいと考えた時に、これしか手段がなかったという感じです。今の段階で勝負していくには、これ(セットポジション)でやっていくしかない」というが、結果は顕著に現れたという。
「投球練習をしていても捕手が『大丈夫か』というくらいのボールでも、打者が案外打ち損じてくれるっていうのがあった。ストライクゾーンへ投げておけば、何とかなるというのがありました」
16年11月、17年8月と右肘を2度手術を経て導き出した新たな投球スタイルだ。「手術前は正直、本当に何も考えていなかった。いろんな方に言われてきたこと、教えられたことがひとつずつ消化されていったなという感じがします」という。過去2年間はキャンプでボールを投げることができなかった。「11月、12月のオフシーズンにキャッチボールをしていることがなかった。準備段階が完全に違います」。開幕ローテ入りへ調整は順調そのものだ。
チームの先発陣では金子千尋(弌大)投手が北海道日本ハムへ、西勇輝投手が阪神へFA移籍した。2015年に2桁10勝を挙げた右腕の復活に注目が集まるが、「周りどうこうは関係ないです。僕は僕のやることをやるだけ」と言い切る。そして、今季目標を
「(ここ数年)なかなかチームの力になれていない。まずはケガをしないで1年間投げ続けたい。ケガをしたら力になることができないですし、自分にチャンスがあったとしても、つかむことができなくなる。ケガをしないことが基本。あとはどんな形でも力になれれば」
今年6月15日に30歳となる。新たな投球術を武器に、復活のプロ6年目とする。
(岩国誠 / Makoto Iwakuni)
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