4大紙の1つ「聯合報」「自由時報」などで大きく報道
2月16日、沖縄県国頭村の北海道日本ハム春季キャンプで行われた紅白戦。日本では、昨夏の甲子園を沸かせたドラフト1位ルーキー吉田輝星と、ドラフト5位ルーキー柿木蓮の投げ合いに注目が集まったが、台湾ではこの試合で本塁打を放った王柏融の話題で大盛り上がりだった。
この日、王は「3番・左翼」で先発。1打席目は柿木と対戦して一ゴロに倒れたが、4回の2打席目で2017年ドラフト2位の西村天裕から左中間にソロ本塁打を叩き込んだ。
台湾4大紙の1つ「聯合報」は、「日職/火腿沖繩紅白賽 王柏融熱身賽首轟(日本プロ野球/ハム沖縄での紅白戦で、王柏融は最初の爆弾を落とした)」という見出しで大きく報じた。北海道日本ハムは、台湾では「日本火腿」と表記される。本文では「日本・沖縄の春季キャンプでは、練習試合が次々と開始された。北海道日本ハムはチーム内で紅白戦を行い、『大王』王柏融が日本で初めての『爆弾』を落とした」と記された。
「聯合報」では、さらに「巨人の陽岱鋼と千葉ロッテの左腕チェン・グワンユウも好調だった」と、他の台湾出身選手の動向もきめ細かく報じている。
これも4大紙の1つ「自由時報」では「『台灣大王』春訓霸氣開轟 稱對方失投(「台湾の大王」が春季キャンプで失投を見逃さず横暴ぶりを示す)」という見出し。本文では「本日、北海道日本ハムの春季キャンプで行われた紅白戦で『台湾王』の王柏融が左中間に本塁打。試合後、彼は『投げミスで逆球が来たところを打った。運が良かった』と控えめに語った」と報じている。同紙では、日本メディアが報じた「2ストライクに追い込まれていたので、ストレート1本を狙って打ちました。失投だと思うので、運が良かった」というコメントも紹介した。
25歳の王は、2015年にCPBL(台湾プロ野球)のLamigoに入団すると、わずか4年で打率4割、200本安打、3冠王など、次々と打撃記録を更新し、大ブームを起こした。CPBLでは圧倒的な存在で「大王」と呼ばれていた。
王は、陽岱鋼のように日本の高校に進学し、ドラフトで日本プロ野球入りしたのではなく、大学から進んだCPBLで大活躍をし、ポスティング制度を利用してNPBに移籍した。これは台湾球界史上初めてのケースで、日本でいえば、NPBで大活躍した後にポスティング制度を利用し、日本人野手として史上初めてMLBに移籍したイチローのような存在なのだ。課題とされた守備でも、3回には清宮幸太郎の左飛をうまく処理した。
台湾野球育ちの王がNPBで活躍すれば、CPBLのレベルの高さを証明することにもなる。そんな理由もあって、台湾メディアは興奮したのだろう。
(広尾晃 / Koh Hiroo)
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