あいにくの雨天メニューとなったキャンプ最終日。すべての練習メニューを終え記者会見に臨んだ井口資仁監督は「100点に近い」と評価した。異例のキャンプ初日からの紅白戦。実績十分の涌井と石川が先発したことで、チーム全体の士気が上がった。だから、MVPを問われると「涌井と石川。彼らが2月1日に投げた事でこのキャンプが引き締まった」と目を細めた。
9日と10日に組まれていた、台湾プロ野球ラミゴモンキーズとの練習試合は2連勝。初戦は打線が爆発。2戦目は4点ビハインドからの逆転に成功した。1戦目では結果を求められている平沢が1本塁打、安田が2本塁打とアピール。若手を中心に積極果敢な打撃をみせた。「平沢は結果が問われる年。安田は鈴木、レアードがいる中で、今年どのような姿を見せるかで今後が変わってくる。今年、レギュラーを獲ってやるという強い気持ちが伝わってきた」と評した。
チームは12日に沖縄本島に移動。13日にはベイスターズ(宜野湾)、14日にドラゴンズ(北谷)と、いよいよ日本国内チームとの練習試合に臨む。キャンプを早めに切り上げて、練習試合を続ける中でチームを成長させていく方針だ。「ここまでしっかりとした練習ができた。あとは実戦での競争。他球団との練習試合が続く中でどれだけアピールできるか。誰が勝ち残っていくのかをしっかりと、見守っていきたい」と指揮官はニヤリ。これから始まる実戦の日々への期待を口にした。
実績のある登板機会のない投手に角中、荻野、鈴木、レアードなどは石垣島に残留。若手と試したい選手を中心に抜擢したメンバーで沖縄遠征7試合に挑む。試したいことはさまざま。投手で言うなら適性。先発か、中継ぎ、抑えもできるのか。野手も本来のポジション以外の対応力を見極める。それは守備に限った話ではなく、代打、代走にも置き換えられる。打席でも同じ。バントの上手さやエンドランなどのサインの適応力も判断していく。多様なシチュエーションで駒としてどこまで機能することができるのか。長いシーズン、考えられるさまざまな場面に向けてあらゆる策を試してみる。
「去年に関して言えば、スクイズをすれば勝ち越せるような場面であえてサインを出さなかったこともあった。それは、選手たちに打って自信をつけてもらうことが大事だと判断をしたからというのもある。チームの成長を考えてのこと。今年は次のステージ。作戦面の熟成も試合の中でやっていきたい」。井口監督は実戦の中でサインやフォーメーションを駆使し、思い描く戦術の選手への落とし込みも狙っている。そこには、戦略面を高度化して戦いに挑むマリーンズの新しい姿が見える。
2月1日のキャンプインと同時の紅白戦もマリーンズでは異例だったが、キャンプを早期に打ち上げ、沖縄本島での試合の日々を送るのも珍しいスケジュール。実戦の中でチームを磨き、メンバーを絞っていく作業が続く。井口マリーンズは新しい戦力を加え、新しい戦い方と新しい調整法でシーズンに挑む。晴天に恵まれ活気に溢れた石垣島キャンプが終わった。2019年、マリーンズの逆襲はここから始まるのだ。(完)
記事提供: