「オイッ!! オイッ!! オイッ!! ●●!!」
「オーオオオー!! オオオーオーオーオー!!」
夏の全国高等学校野球選手権地方大会が行われている球場のスタンド。得点が狙えるチャンスでメンバー外の選手たちが千葉ロッテのチャンステーマを歌い、打席に立つバッターへ大きな声援を送る。高校野球の応援といえば「サウスポー」、「狙いうち」、「紅」、「アフリカンシンフォニー」がスタンダードナンバーとされているが、近年新しい流れとなっているのが千葉ロッテの応援を取り入れている高校野球部が増えているということだ。
パ・リーグのみならず、プロ野球ファンの間では「千葉ロッテの応援は迫力がある」という声をよく聞く。一体感のある声、ジャンプ、手拍子。かつて打撃コーチとして千葉ロッテに在籍していた金森栄治氏は応援について聞かれた際に「ベンチで一緒に歌っていますよ。あの応援、誰が考えているのですか?」と千葉ロッテの応援を絶賛していた。
この応援スタイルは1995年、ボビー・バレンタイン監督就任と同時に誕生。応援団のトランペットに合わせてメガホンをたたくそれまでの応援とは違い、手拍子と一体感のある声で応援するサッカーのサポータースタイルの応援を確立した。他にもレプリカユニホームの着用、ゲートフラッグなど、千葉ロッテは新しいプロ野球の応援文化を生み出していく。
高校野球の応援に千葉ロッテの応援が取り入れられるようになった要因はいくつか考えられる。2005年、2010年と2度日本一になるなど千葉ロッテの試合が見られる機会が増えたこと。動画サイト「YouTube」や「パ・リーグTV」の普及。そして、楽譜付きの吹奏楽アレンジ応援歌集が昨年球団から発売されたことなど。
千葉ロッテの応援を高校野球でよく聞くようになったのは6年前だっただろうか。東東京大会のとある球場で応援を仕切る野球部員が「次、スピードスターな」と声を掛ける。すると聞こえてきたのは当時千葉ロッテの1番バッターだった西岡剛選手(現阪神)の応援歌だった。さらに千葉ロッテファンの間で盛り上がる応援歌とされてきた2010年から使用されていた神戸拓光氏の曲も聞こえてきた。
甲子園では2014年夏、東邦対日南学園の試合で両校が千葉ロッテの応援を多用。インターネット上で大いに盛り上がった。さらに東邦は昨年秋、明治神宮大会で女子マネージャーがトランペットで演奏する本家さながらの応援を展開。今春のセンバツでも千葉ロッテの応援を中心に構成されていた。
特にエースで4番のドラフト候補・藤嶋健人選手が打席に入った時の曲は2011年に在籍していたホセ・カスティーヨ選手の応援歌と昨年まで在籍していたルイス・クルーズ選手(現巨人)の応援歌のメドレーと、千葉ロッテファンにとっては非常にくすぐられるものになっている。
現在、全国高等学校野球選手権の地方大会が各地で行われ、夏の甲子園を目指した熱い戦いが繰り広げられている。スタンドで高校生が行う千葉ロッテの応援を楽しむのも見どころの一つだろう。
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