キャンプ3日目の2月3日はあえてメニューを削った。ただガムシャラにするだけではない。時には勇気をもって緩めることも大事だと判断した。集中して質の良い練習を行うために井口資仁監督は午後の個人練習を行わずに選手たちには休養に充てるように指示を出した。
「5勤の真ん中。1日、2日と全力でやってくれた。特に初日は試合をこなした。コンディションスタッフからも選手たちに体に張りがあるとの報告もあったので判断をした」
前日2日のコーチ会議にて午後からの個人練習を大幅短縮することを決めたことについて指揮官は理由を説明してくれた。
今年のキャンプでは宿舎朝食会場にて選手たちのコンディションを細かく見定めるようにしている。毎日、選手たちの体重、脈拍を図り、血中酸素飽和度も計算する。コンディショニング担当は数字だけではなく実際に目も光らせ、選手の顔色や動きをチェックしデータと合わせた総合情報を監督以下首脳陣に報告を入れる。
2月1日のキャンプインに紅白戦を行うというマリーンズでは前例のない実戦を入れた。選手たちは1月の自主トレから体を鍛え上げ、状態をピークに持ってきた。それだけに反動もあった。チーム全体の状態報告を受けた時、ペースダウンの必要性を感じた。
キャンプ3日目にして練習メニューを軽減させるのは、なかなかできることではない。勇気を必要とする決断だ。だから最後は指揮官が自ら積極的に提案するかたちで実現した。そして配られた練習メニューには指揮官の選手たちへの心配りが感じられる一文が記載されていた。
「※個別・自主練習無し!」
選手たちは自ら体をいじめ抜く可能性がある。だからあえて練習メニュー表に明記した。この一文に選手たちは救われる。
「早く終わったと言っても午前に詰め込んだだけ。通常なら午後に行う練習も午前に入れ込んで、濃密に行った。全体メニュー後の個別練習をナシにしただけだからね」
練習後の記者会見で意図を聞かれ井口監督は笑いながら回答した。午後2時には練習メニューのすべてが終了。各自、選手たちは早めに宿舎に戻っていった。明日4日からシート打撃を開始。サインプレー、フォーメーションの確認作業も行っていく。いよいよ本格的な実戦段階へと移行していく。曇りのち晴れ。27度。この日も石垣島の空は青く澄んでいた。
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