千葉ロッテの二木投手が、今季初めて規定投球回に到達し、勝ち星、奪三振数、完投数でチーム最高の成績を残した。投打ともに苦しみ、最下位に沈んだチームにあって、22歳の若き右腕が見せた快投は今後の大きな希望にさえなりつつある。
鹿児島情報高校を卒業後、2013年のドラフトで千葉ロッテから6位指名された二木投手。甲子園の出場経験はなく、187センチという長身に見合わない華奢な体格だった。2015年に早くも一軍登板を果たすと、翌年には開幕から先発ローテーションの一員を務め、4月12日の楽天戦、1失点完投でプロ初勝利を飾る。シーズン終盤に調子を崩し、防御率5.34と課題は残したものの、ほぼローテーションを守り抜いて7勝を挙げた。
さらなる活躍が期待された今季は、シーズン初先発となった4月14日の埼玉西武戦で7回1失点の好投を見せると、以降は安定した投球でローテーションに定着し、チームトップの7勝をマーク。不振に喘ぐチームの中、先発陣の軸として奮闘した。
二木投手の成長ぶりは、残した成績にも如実に表れている。勝敗数こそ昨季と同じ7勝9敗だが、防御率は5.34から3.39、奪三振は81から128。昨季は先発した21試合のうち、クオリティ・スタートを達成したのは7試合だったのに対し、今季は22試合のうち実に15試合だった。
クオリティ・スタートの増加はそのまま投球イニングの増加にもつながり、シーズン最終戦で中継ぎとして2イニングスを投げ、プロ入り初の規定投球回に到達。パ・リーグ防御率ランキング8位にも食い込み、「マイナビ オールスターゲーム2017」にも出場するなど、さらなるブレイクを果たした4年目のシーズン。来季こそ、かねてより目標に掲げていた2桁勝利を達成できる可能性は高いだろう。
ピンストライプユニホーム姿の二木投手は、まだまだひょろりとした印象がある。しかし、チームは1年目から「二木プロジェクト」と題し、この大器の将来に大きな期待をかけてきた。二木投手自身もその期待に応えようと、人一倍時間をかけて身体作りに励み、体重はルーキーの頃より10キロ以上重くなっている。そんな地道で過酷な日々の積み重ねが実を結んでいることは、二木投手の完投能力の高さ、チームの先発陣をけん引し、規定投球回に到達した事実が物語っている。
涌井投手と石川投手が不振に陥り、来季、二木投手にかかる期待はこれまで以上に大きくなることが予想される。千葉ロッテではこれまで、小野晋吾氏や成瀬投手(東京ヤクルト)などが、ドラフト6位からエース格に成長しチームを支えてきた。ドラフト下位から若きエース候補に名乗りを上げた快腕の、来季以降のピッチングに要注目だ。
記事提供: