速球とスライダーを軸に左打者を抑えてきた左腕の安定感は、チームが不振に陥った中でも不変だった。千葉ロッテの松永投手は今季も50試合に登板して18ホールドをマークし、貴重な左投手としてブルペンを支えた。さらに、毎年40試合以上に登板し続けてきた左腕にとっては、節目となる数字も間近に迫ってきている。
高松商業高校、関西国際大学、大阪ガスで実績を積み上げてきた松永投手は、2012年のドラフト1位で千葉ロッテに入団する。球団からも「即戦力として先発、中継ぎ、抑えの全てをこなせる万能投手」として、1年目から一軍での活躍が期待されていた。
松永投手はその期待に応えて、ルーキーイヤーから重要な局面での登板を重ね、即戦力にふさわしい投球を披露。主に中継ぎを務めたが、シーズン終盤には先発に転向し、クライマックスシリーズファーストステージ第2戦の先発も任された。シーズンは58試合に登板して4勝1敗28ホールド1セーブ、防御率2.11という素晴らしい成績を残す。
その後も左投手が少ないブルペンを支えてきた。今季は序盤に苦しんで一時は防御率が10点台を超えたものの、約1カ月の再調整を経て以降は安定感を取り戻し、6月7日の中日戦から21試合連続無失点。最終的には50試合に登板して1勝3敗18ホールド、防御率3.22という成績を残した。
サイドに近いフォームから投げ込む快速球とスライダーを武器に、ワンポイントまたは1イニングを任され、右打者と対戦することもある松永投手。その貢献度と安定感は、プロ入り後の5年間全てで40試合以上に登板し、いずれも2桁のホールド数を記録し、防御率3点台以下に抑えてきたという事実が雄弁に物語っている。
千葉ロッテの左腕としては、藤岡投手やチェン投手が控えている。しかし、仮にシーズン中に不調に陥っても巻き返す修正能力の高さを示し、貴重な戦力として貢献してきた松永投手は、チームにとって欠かすことのできない存在だ。
松永投手は5年間のプロ生活で通算248試合に登板し、81ホールドを記録してきた。今季18ホールドをマークしたため、節目となる通算100ホールドの達成は充分射程圏内だろう。分業制が確立され、1試合で多くの中継ぎ投手がマウンドに上がるが、これまでに通算100ホールドを達成した投手は26名しかいない。決して日の当たることが多くない左打者封じという役目を粛々とこなしてきた松永投手にとって、1つの勲章となる記録が来季中に達成されるかどうか。即戦力の期待に応えてチームを支えてきたタフネス左腕は、これからも与えられた役割を全うするべく、その腕を振り続けていく。
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