対照的な鷹と星。「SMBC日本シリーズ2017」を振り返る

パ・リーグ インサイト

2017.11.6(月) 00:00

(C)パ・リーグインサイト
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10月28日から11月4日まで行われた「SMBC日本シリーズ2017」。福岡ソフトバンクとセ・リーグのクライマックスシリーズ覇者・横浜DeNAが激闘を繰り広げ、最終的に福岡ソフトバンクが日本一の頂に上り詰めた。

史上最速でパ・リーグを制覇した福岡ソフトバンクの「王道野球」はさすがの強さだったが、クライマックスシリーズファーストステージから這い上がった横浜DeNAは、若手選手の勢いや細やかな戦略を駆使してそれと渡り合い、連日見応えのある戦いを繰り広げた。そこでここでは、今回の日本シリーズの初戦から第6戦までを簡単に振り返っていきたい。

【10月28日 日本シリーズ第1戦 ヤフオクドーム】
・福岡ソフトバンク 10対1 横浜DeNA 千賀投手-井納投手
ヤフオクドームで行われた日本シリーズ第1戦は、終始福岡ソフトバンクのペースだった。クライマックスシリーズファイナルステージでピタリとハマった「1番・柳田選手」がここでも機能し、柳田選手の出塁、今宮選手の犠打、デスパイネ選手の適時打によって速やかに先制点を奪う。長谷川勇選手が2ランを放ってヤフオクドームのボルテージを上げると、押し出しや連打などでも追加点。最終的にスコアは10対1の大差となり、投打で横浜DeNAを圧倒した福岡ソフトバンクが、日本シリーズで白星スタートを切った。

【10月29日 日本シリーズ第2戦 ヤフオクドーム】
・福岡ソフトバンク 4対3 横浜DeNA 東浜投手-今永投手
日本シリーズ第2戦は初戦と同じく、福岡ソフトバンクが先制に成功した。試合中盤、梶谷選手の同点弾と宮崎選手の逆転弾で横浜DeNAが2点を勝ち越すが、福岡ソフトバンクは柳田選手の適時打で1点差に迫ると、敵失も絡んで2死満塁の好機を作り出す。この場面で中村晃選手が1,2塁間を破り、同点のランナーが生還。逆転のランナーである今宮選手もヘッドスライディングで本塁に突入し、リプレー検証の結果セーフとなる。その執念の1点リードをモイネロ投手とサファテ投手が守り、福岡ソフトバンクが2連勝を決めた。

【10月31日 日本シリーズ第3戦 横浜スタジアム】
・横浜DeNA 2対3 福岡ソフトバンク ウィーランド投手-武田投手
日本シリーズ第3戦は、内川選手の適時二塁打で福岡ソフトバンクが3戦連続となる先制。先発の武田投手は制球に苦しんだが、女房役の高谷選手が2度盗塁を刺し、さらに決勝打となる2点適時打をも放った。スコアは3対0となり、福岡ソフトバンクが試合の流れを完全に掌握したかと思われたが、中盤からの横浜DeNA打線の気迫は見事だった。ロペス選手の一発で2点差に迫り、6回裏には柴田選手がファウルで粘って四球を選び、1死満塁となる。そして2死満塁から、倉本選手が11球粘った末に執念のヘッドスライディングで適時内野安打。スコアは3対2となり、なおも横浜DeNAの一打逆転の好機が続く。だがここは桑原選手の良い当たりを中村晃選手が好捕し、紙一重で反撃を阻止した。以降はモイネロ投手、岩嵜投手、サファテ投手からなる「勝利の方程式」が1点リードを死守し、福岡ソフトバンクが横浜DeNAの執念を振り切る。3連勝を果たし、日本一に王手をかけた。

【11月1日 日本シリーズ第4戦 横浜スタジアム】
・横浜DeNA 6対0 福岡ソフトバンク 濱口投手-和田投手
福岡ソフトバンクは勝てば日本一、横浜DeNAは負ければ終わりの第4戦。この大一番を支配したのは間違いなく横浜DeNAの大卒ルーキー・濱口投手だった。大ベテランの相手先発・和田投手と堂々と投げ合い、直球とチェンジアップを駆使してなんと8回途中までノーヒットノーラン。日本シリーズでルーキーが6回以上を無失点に抑えたのは史上初のことである。濱口投手の歴史的熱投に応え、横浜DeNA打線も2本塁打を含む6点の援護。福岡ソフトバンクは、今宮選手が客席に飛び込んでファウルボールを好捕する超ファインプレーを見せたものの、最終的に2安打に抑え込まれて完封負けを喫した。

【11月2日 日本シリーズ第5戦 横浜スタジアム】
・横浜DeNA 5対4 福岡ソフトバンク バンデンハーク投手-石田投手
横浜DeNAが崖っぷちから踏み止まったものの、依然福岡ソフトバンクが日本一に王手をかけた状態で臨む第5戦。内川選手の適時二塁打で先制に成功し、先発のバンデンハーク投手も好調な滑り出しだった。筒香選手の2ランで横浜DeNAが勝ち越すが、中村晃選手の逆転弾ですぐさまリードを取り返す。そのまま試合は福岡ソフトバンクペースになるかと思われたが、筒香選手と宮崎選手の連打で横浜DeNAが同点に追い付くと、福岡ソフトバンクの適時失策で逆転。そしてわずか1点のリードを守護神・山崎康投手が回を跨いで守り抜き、横浜DeNAが競り合いを制した。横浜で雌雄は決せず、戦いの舞台は福岡へ。

【11月4日 日本シリーズ第6戦 ヤフオクドーム】
・福岡ソフトバンク 4対3 横浜DeNA 東浜投手-今永投手
連日見応えのある接戦が繰り広げられ、第6戦までもつれ込んだ日本シリーズ。松田選手の一発で福岡ソフトバンクが先制に成功するが、白崎選手の同点弾、ロペス選手の適時打で、横浜DeNAが2点のリードを握る。柳田選手のゴロで福岡ソフトバンクが1点差に迫るも、そのまま試合は最終回へ。逃げ切りたい横浜DeNAは当然、山崎康投手を投入。しかし、この土壇場で内川選手が起死回生の同点弾を放った。スコアは3対3となり、試合は延長戦へ。互いに一歩も譲らず、頂上決戦に相応しい緊迫の展開が続く。終止符を打ったのは、福岡ソフトバンクの川島選手だった。11回裏、2死1,2塁の場面で、値千金のサヨナラ打。この劇的な勝利によって、福岡ソフトバンクが2年ぶりの日本一に輝くこととなった。

以上、今回の日本シリーズの熱戦を簡単に振り返った。絶対的守護神として君臨し、第6戦で3イニングスを投げた福岡ソフトバンクのサファテ投手は、日本シリーズMVPに選出。優秀選手には福岡ソフトバンクの柳田選手、内川選手、横浜DeNAの濱口投手、敢闘選手には横浜DeNAの宮崎選手が選ばれている。

今回、セ・リーグクライマックスシリーズ覇者の横浜DeNAは、ファーストステージから這い上がってきたため、12球団で最も多くの試合を戦うことになった。過去の対戦成績や、その疲労を考慮すれば、今シリーズでは福岡ソフトバンクが優位に立っているという見解に至るのも致し方ないことだっただろう。しかし、蓋を開けてみれば、初戦以外はどちらが勝ってもおかしくない接戦、熱戦、激戦だった。

巨大戦力を擁し、堅守を誇る福岡ソフトバンクと、新進気鋭の選手が多く、深謀遠慮を得意とする横浜DeNA。対照的な2チームの頂上決戦は、それぞれのチームと選手1人1人に得難い経験と学びをもたらしたことだろう。戦いが終わったばかりの今はただ2チームの健闘を称え、見応えのある6試合を見せてくれたことに感謝したい。この歓喜と悔しさを等しくチームの糧として、来季もまたこの大舞台を目指して戦ってほしいものだ。

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