千葉ロッテ・来季に向けて

パ・リーグ インサイト 吉田貴

2017.11.6(月) 00:00

今季は残念ながらリーグ6位という成績に終わった千葉ロッテ。精神的支柱の井口選手も現役引退を表明し、大きな変革が必要であることを感じさせるシーズンだった。来季の浮上は、これからの千葉ロッテを担っていく次なる主役の活躍にかかっている。ここでは、来季大きな飛躍が期待される選手に注目したい。

まずは今季のドラフト1位ルーキー・佐々木投手だ。史上初となる「5球団競合外れ1位」指名を受け、大きな期待を背負ってプロ入りを果たした右腕は、初先発となった4月6日の北海道日本ハム戦で初勝利を挙げる。順風満帆なスタートを切ったかに見えたが、以降はプロの壁にぶつかり、長く苦しい戦いを強いられることに。

しかし、ファーム調整を経て、9月13日に再び一軍のマウンドに戻ると、1失点の好投で完投勝利を挙げる。9月21日の埼玉西武戦でも、リーグ屈指の得点力を誇る埼玉西武打線を相手に7回1失点と好投し、見事に相手エース・菊池投手との投げ合いを制した。9月の月間防御率は4試合で0.95。終盤戦により一層輝きを見せた黄金ルーキーは、必ずや来季の先発陣の柱となってくれることだろう。

同じく1年目の投手として、酒居投手にも大きな期待が持てる。今季は先発、中継ぎの両方をこなし、ルーキーとしては申し分のない働きを見せたが、特に注目したいのは中盤戦以降の先発登板だ。今季は5勝1敗の成績を残したが、この5勝は全て8月以降の先発登板で挙げたものである。先発したほとんどの試合で7回までを投げ、2度の完投勝利を記録するなどスタミナも充分。来季も先発として起用されることになれば、安定した投球でチームを勝利に導いてくれそうだ。

最後に、石川投手、涌井投手といった主力が苦しむ中で、エース格としてローテーションを守った二木投手にも、期待しないわけにはいかない。今季も昨季と同数の7勝9敗でシーズンを終えたが、昨季を大幅に上回る143回1/3を投げ、防御率は5.34から3.39、奪三振は81から128と投球内容が飛躍的に良くなっていることが分かる。今季同様の投球を続けられれば、来季は自身が目標としている2桁勝利も手中に収められるだろう。

また、打線のキーマンとしては、まずは加藤選手の名前を挙げたい。今季は8月から1番として先発出場する機会が増え、ここぞというところで勝負強さを発揮した。9月14日の北海道日本ハム戦では最終回に値千金の逆転3ランを放ち、井口選手の引退試合では5打数4安打と躍動している。俊足を生かした守備でも多くの美技を披露してチームのピンチを救ってきた。来季は、井口新監督が目指す「機動力を駆使したチーム」の象徴として、リードオフマンの役割を果たしたい。

加藤選手とともに活躍を期待したい選手は荻野貴選手だ。毎年怪我に悩まされていたが、9月からはついにそのポテンシャルを発揮する。球界屈指の俊足でリーグトップとなる9月の月間盗塁10を記録。課題の打撃も好調で、9月の月間打率は.356をマークした。来季も切り込み役として、加藤選手とともに打線をけん引したい。今までシーズンを通した活躍ができず歯がゆい思いもしてきただけに、巻き返しに向けた気力は充分だ。

最後に、鈴木選手や角中選手らとともに中村選手には打線の中核を担ってほしいところだ。今季は出場試合数こそ減らしたものの、昨季同様に300以上の打席に立ち、打率.275、77安打、9本塁打、32打点と、いずれもキャリアハイの成績を残した。長打率も昨季を大きく上回る.432を記録。来季は尊敬する井口新監督の信頼を勝ち取り、「期待の若手」としてではなく「主力」としての活躍に期待したい。

今季は順位としては悔しい結果に終わった千葉ロッテだが、9月・10月は月間勝ち越しに成功し、終盤に入ってからは来季に希望を持てる試合も数多くあった。ここまで取り上げてきた選手のほとんどは、シーズン中盤以降の活躍が目立った選手だ。彼らを中心として来季はチーム一丸となり、勝利の喜びを1つでも多く味わいたい。

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パ・リーグ インサイト 吉田貴

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