福岡ソフトバンクの春季キャンプは、2月1日から宮崎市で行われる。昨季はレギュラーシーズンを2位で終えたものの、短期決戦ではさすがの強さを発揮して見事2年連続日本一に輝いた。ケガ人続出の影響でレギュラーの入れ替わりは多かったが、戦力が戻ってくる今年は激しいチーム内競争が予想される。そんな鷹キャンプの見どころを挙げていこう。
育成出身左腕とサブマリンはローテ入りを狙う
昨季はケガ人が相次いだ投手陣だったが、その穴を埋める若手の活躍も目立った。今オフには寺原隼人投手、五十嵐亮太投手、攝津正投手といった実績のあるベテランたちが退団。若返りが進む中で、どの投手が自分の立ち位置を確立するのかということは、今キャンプの大きな注目ポイントだ。
まずは昨季、ルーキーながらチームの危機を救い、キャンプのA組(一軍)メンバーにも選ばれた大竹耕太郎投手と高橋礼投手にかかる期待は大きい。育成4位だった大竹投手は7月に支配下登録を勝ち取ると、主に貴重な左の先発として11試合に登板。育成新人史上初となるプロ初先発初勝利も飾った。今季は年間を通じて戦い抜ける体力をつけていきたい。
同2位ルーキーだった高橋礼投手は、12試合に登板して防御率3.00という成績を残す。あらゆる場面での起用に応え、オフの「2018日米野球」ではメジャーリーガーに対しても堂々たるピッチングを披露した。日本球界でも非常に珍しいサブマリンは、今季どのように起用されるのだろうか。
鉄壁のセットアッパーと守護神の復活も待ち遠しい
ケガからの復活を誓う実力者たちにも注目だ。2017年、球団新記録の72試合に登板した岩嵜翔投手と、言わずと知れた「キング・オブ・クローザー」サファテ投手は、ともにB組(二軍・リハビリ組)スタートで、手術からの完全復活を目指す。試合終盤を守り続けた頼もしい2人にとって、キャンプは実戦感覚を取り戻すための最初のステップとなるだろう。
そのサファテ投手と抑えのポジションを争うのは、昨季セーブ王に輝いた森唯斗投手だ。ライバルが公私ともに親しいサファテ投手でも、ルーキーイヤーから5年連続50試合以上に登板している鉄腕が、そう簡単に定位置を明け渡すわけにはいかない。今回のキャンプには、例年とは違った緊張感が漂いそうだ。
ドラ1右腕・甲斐野央投手も、一軍キャンプに振り分けられている。東洋大学では中継ぎとして活躍したが、昨季フル回転した加治屋蓮投手や、67試合の登板で被打率.153を誇る嘉弥真新也投手をはじめ、先述の岩嵜投手、サファテ投手、森投手など、ブルペン陣の層は厚い。同じく一軍キャンプに選ばれた同4位・板東湧梧投手、同7位・奥村政稔投手とともに、まずは確実に自身の持ち味をアピールしたい。
万全でさえあればその戦力は12球団屈指
野手では、特にレギュラーを固定できていない二塁手争いに注目だ。セカンドでは、内野のユーティリティとして存在感を発揮する川島慶三選手と明石健志選手の両ベテランに、昨季規定未満ながら打率.317をマークした牧原大成選手が挑む構図となりそう。現状では牧原選手が一歩リードしているが、このまま育成出身の26歳が立ち位置を確立するのか、それとも経験豊富な2人が待ったをかけるのか。
これからのチームを背負う若手の筆頭として、上林誠知選手の名前も挙げたい。2017年にレギュラーの座をつかむと、昨季は全143試合に出場して22本塁62打点、打率.270と、打撃3部門全てでキャリアハイを更新した。65年ぶりとなるシーズン14三塁打、13盗塁を記録した23歳。ストイックに成長を続ける姿から、片時も目が離せない。
もちろん、ベテランの復活にも期待したいところだ。通算8度の打率3割を記録し、両リーグ首位打者にも輝いた内川聖一選手は、ここ2年はケガの影響もあり出場機会が激減。昨年は71試合、打率.242にとどまり、試合数、打率ともに移籍後ワーストとなった。昨季限りで引退した攝津投手をはじめ、同年代の選手がユニホームを脱ぐ中で、もう一花咲かせられるか。
ケガ人続出の非常事態を乗り越え、2年連続で日本一に輝いた福岡ソフトバンク。FAで大物選手を獲得できず、オフの補強はドラフトのみとなったものの、万全の体制なら戦力はやはりパ・リーグ随一だろう。多士済々な今キャンプのレギュラー争いは、首脳陣にとってもファンにとってもうれしい悩みとなりそうだ。
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